休暇後にも長く残る効果の中で特に重要なのが、クリエイティビティだ。
AIが単純作業をやってくれるようになった現代、人間に残されたのは高度な作業ばかり。特に会社の将来を左右するような新しい企画や、苦境を乗り切るための経営方針を考えるといったことにクリエイティビティは欠かせない。長時間パソコンの前に座っているだけではできない類の仕事だ。
ドイツで18~67歳の274人の従業員(うち73%がフルタイム)に休暇前、休暇中、休暇直後、休暇2週間後にアンケートに答えてもらったところ、休暇から戻った直後にはクリエイティビティが休暇前より落ちたが、2週間後には「休暇前よりも良くなった」と答える人が多かった。
長い休暇のあと久しぶりに職場に戻った直後は、仕事に追われてしまう。しかしその時期を越せば、休暇前よりもクリエイティビティが上がるというのだ。
休暇前後の生産性の変化を、キルナで研究職に就く山内さんがこのように説明してくれた。
「たとえば夏の休暇を4週間取るとすると、休暇前の1週間はこれから長く休むためにものすごく仕事をがんばれる!残業するという意味ではなくて、能率があんなに上がるのがわれながらすごいと思う。
そして休暇から戻ったあとも生産的に働けるから、4週間休んでいても、仕事のロスは実質2週間分くらいかな。そもそも、それより休みが短いと心身がしっかり回復しないので無理。
30歳くらいまでは3週間くらいでも回復していたけれど、50過ぎたら5週間ないともう……」
年3週間以下の休暇と
寿命に見られた強い相関
逆に長い休暇を取らないとどのようなことが起きるのだろうか。
スウェーデンのお隣のフィンランドでは、それが「寿命にかかわる」という研究結果が出ている。
1974年に始まったヘルシンキ・ビジネスメン・スタディという研究で、40年にわたる研究の過程もなかなかドラマチックだ。被験者は1919~1934年生まれの男性1222人で、喫煙者だったり高血圧だったりと、将来的に心臓血管系の疾患をおこすリスク要素が1つある人々だった。
『スウェーデン人はなぜ朝の3時間で仕事が片づくのか』(久山葉子 PHPビジネス新書、PHP研究所)
その中で、4カ月ごとに「タバコは止めましょう」「運動しましょう」といった健康に関するアドバイスを受けたグループは、受けなかったグループよりも5年後に心臓血管系の病気のリスクが46%減少していたという。
そこまでは驚かないが、15年後に再び調べたところ、アドバイスを受けていたグループの方が死亡率は高かったというのだ。いったいなぜ――?
研究は2004年まで延長された。すると、「早く死んだ人」と「1年に3週間以下しか休暇を取らなかった人」に強い相関性があったのだ。研究者らは「高齢になってからの健康状態に、中年期に休暇を取ったかどうかが大きく関わってくる」と結論づけた。
休みが少ないということはそのぶん運動量も減るし、ストレスも多くて喫煙や飲酒、カロリー過多などの不健康な要因にもつながる。たかが休暇――仕事をしていない日が続くだけ――となめてかかってはいけないのだ。







