そんなふうに思っていたときの話です。

 私は、初めてプロジェクトリーダーを任されました。

 メンバーながら、これまで実質的にプロジェクトを回してきた経験はあるし、もう自分は結構仕事ができるようになってきたんじゃないか。自分なら簡単にこなせるだろうと思っていました。

 実際、作業は回ります。仮説作りに必要なファクトは集められる。分析も資料作りもできる。自分としては、困っていることはありません。

 行き詰まったのは、その先でした。

 作成したアウトプットが、私の上にいたシニアマネージャーのチェックを通らないのです。

何がダメなのか
わからない状態に陥る

 自分としては、できているつもりでした。何が重要なキーメッセージなのかは見えている。それをベースに、分析もファクトも並べている。

「結局こういうことを考えないといけないですよね」というところまでは、ちゃんと書いているつもりだった。それなのに、通らない。

「なんで?」という感覚でした。

「これで、十分できているじゃないか」と思っていた。何がダメなのかが、本当にわからない。この状態が、ずっと続きました。

 そのシニアマネージャーは、夜遅くまで付き合ってくれました。深夜2時、3時まで、ひたすら問いを投げられる。「本質的な課題は何か」「その課題はなぜ起きているのか」「それがわかって、クライアントは何をできるようになるのか」。

 自分としては、それらの質問に、答えられているつもりです。

 でも、浅い。一段深く聞かれると、崩れる。

 そうして、クライアントへの報告日が近づきます。

「まとめきります」と、最後まで私は言い続けました。

 報告の前日か、前々日のことです。結局、間に合いませんでした。
 プロジェクト全体の最終的な責任を持つ立場であるパートナーが、クライアントに連絡を入れて、報告日を延期しました。

 たぶん、上の人たちはもっと前から、ダメだとわかっていたと思います。

 情けないことに、自分だけが、わかっていなかったのです。