腕組みをするビジネスパーソンコンサルティング業界で求められる人材とは? Photo:PIXTA

新卒採用において、企業はどのような人材を求め、どの事業に注力しているのか。本連載では、各業界をリードする企業がどのような採用戦略を打ち出しているのかを分析し、今後の動向を探る。第7回では「コンサルティング業界」の動向を独自取材でまとめ、業界の専門家に最新のトレンドや企業が求める人材像を聞いた。(ダイヤモンド・ライフ編集部 大根田康介)

戦略と業務支援の両面に進出
垣根がなくなりつつある

 デジタルトランスフォーメーション(DX)の浸透に伴い、システムインテグレーター(SIer)やソフトウエアベンダーなどに、情報工学を専門とする高等専門学校出身のエンジニアが即戦力として参画するケースが増えている。

 そんな中、現在のコンサルティング業界においても、システムインテグレーター的な役割が出てきている。最近の傾向として、各コンサルファームやSIer、ソフトウエアベンダーが同じ方向性で事業展開や組織作りを進めており、IT、コンサルといった複数の業界が、垣根を超えた同質化を進めている。

 具体的に、さまざまなコンサルを担う企業「総合ファーム」と、経営戦略に特化した企業「戦略ファーム」の二つを比べて見てみよう。

 戦略ファームでは従来、経営ビジョンや事業戦略を示し、それをパワーポイントで納品するという形で収益を上げてきた。しかし、現在ではパワーポイントそのものに対する需要は減少し、示した戦略を実行するための支援まで含めて求める企業が増加している。こうした変化により、戦略ファームは戦略を描くだけでなく、ITを含む実行支援も提供する形に変化し、ビジネスプロセスを総合的にカバーするようになっている。

 一方で、以前からITや業務に強みを持つ総合ファームは、逆に戦略領域に進出し、企業の大本となる戦略からの支援要請に応える動きが見られる。

 このように、「各ファームが異なる方向から戦略と業務支援の両面に進出し、垣根がなくなりつつある流れが加速している」と、リクルートエージェントの神田拓郎氏は話す。また、単発型のプロジェクトだけではなく、ストック型ビジネスへのシフトが進んでおり、特にシステム保守運用などの分野に参入する動きもある。

 次ページからは、コンサル業界の構造や仕事内容、そして採用状況を再確認し、各企業がどのような人材を求めているのかを探る。