だから、まっさらな状態で相手の言っていることを、徹底的に理解する。そうしたうえで、自分が考えていることと照らし合わせる。これを繰り返さないとダメでした。

 これが、私の最初のプロジェクトリーダーとしての失敗に対する振り返りです。

失敗から見直したのは
「時間の使い方」と「意見の聞き方」

 ここで終わるなら、単なる反省です。

 内省は、ここで終わりではありません。

 このときに気づいた改善点は、すぐに変えられるものではありませんでした。

 ただ、その後の仕事において、決定的に重要な視点になっていきました。ですのでそれ以降も、同じような観点で、自分のやり方そのものを振り返り続け、振る舞いを変えていきました。

 一つ目の課題、「時間の使い方」の話です。

 ワークプランの立て方と、その回し方を見直しました。イメージとしては、一度作ったものをそのまま磨き込むのではなく、二度、三度と壊して作り直す。その前提で時間を確保するようにしたのです。途中で違和感があれば、一度形にしたものでも躊躇なく捨てる。それを可能にする余白を、最初から設計に組み込むようにしました。

 次に「他人の意見の聞き方」の件です。

 まず変えたのは、誰に話を聞くかでした。しっくりきてなさそうな人、異論や反論を持っている人、あるいは「なんとなく違和感がある」と言う人。そうした人たちにこそ、意識して話を聞きにいくようになりました。

 本人も明確に言語化できていないことが多いので、「なぜそう感じるのか」を、角度を変えながら何度も聞く。ときには、自分の仮説をぶつけてみる。

 そうしたやり取りに時間を使うことが、結果的に最も重要だと考えるようになりました。

自分への反論や違和感の声は
「問いを深くするための入り口」

 さらに、自分の見ている範囲の狭さを自覚するように心がけました。

 自分やチームの視点だけで問いを立てると、必ずどこかでこける。

 コンサルタントに求められる、いわゆる「経営の目線」と言われるものは、単に抽象度が高いという話ではなく、見ているスコープが根本的に違うものです。個別のテーマに見えても、実際には他事業との関係や全体への波及を含めて意思決定されている。

 だから、自分にまだその視点がなかったとしても、そうした視座を持つ人に意見を当てながら、問いそのもののレベルを引き上げていく必要がある。短期・中期・長期と時間軸を変えながら考えることも、意識的に行うようにしました。

 このように内省を深め、改善を続ける中でも、特に難しかったことは、「一度作った仮説を手放すこと」でした。だからこそ逆のことを心がけました。

 自分の仮説に違和感や反論を示す人に出会うと、人はつい耳を閉ざしたくなります。けれど、あえて質問をし、その違和感の背景にある前提や思考を一緒にたどっていく。そうすると、自分には見えていなかったものが見えてくることがあります。

 反論は、仮説が間違っているサインとは限りません。問いを深くするための入り口になることも多いのです。