第3に雇用について、関連する動きを2011年から2019年についてみると、失業率は4.6%から2.4%に下がり、有効求人倍率は0.65倍から1.60倍に上昇、雇用者数は5161万人から5660万人へ499万人増加した。

 内訳は、正規雇用が3346万人から3494万人へ148万人増に対して、非正規が1815万人から2166万人に351万人増と中心だった。

 また人件費支払の総額も横ばいである。このような内容の雇用増であり、経済学がオーソドックスに想定する生産(GDP)の増大によるものではなかった。

円安・株高・雇用増でも
達成できなかった当初目標

 以上を総合すると、アベノミクスの結果についてはこういえよう。

 デフレ脱却をつうじて経済成長を高めるという当初目標は、達成しなかった。この点において、失敗であった。

 円安に動き、株価が上昇した。円安は国際金融の動きによるものである。金融緩和の要因もあったが、それは公式の政策目標ではなく、目標にできるものでもなかった。そして円安にはなったものの成長は高まらなかった。

 株価上昇もプラスに働いたはずだが、成長は高まらなかった。したがって、成功例として記録し今後に活かすべきものではない。

 半面で、アベノミクスは深刻な副作用・後遺症を残した。その全体が顕在化するのはまだこれからである。もちろん危機に至らせてはならない。

 その最大のものは巨額の国債残高であり、財政と金融の分野の問題として現われる。財政はもちろん持続可能性の危機であり、利払いが増加するもとで財政運営が維持できるか、また国債の信用が維持できるかの問題が深刻になる。

 金融の問題は、その国債の半ばを日銀が保有することからきており、日銀が健全性と安定を維持しつつ、必要な金融政策を発動できるかが問われる。

高市内閣が掲げる積極財政
インフレ下で何が問題か

 最後に、現在(2026年前半)の高市内閣の経済政策にふれておこう。全面展開はまだなので明確ではないが、おおまかにはアベノミクスの再現を掲げているようである。