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「暴言だから」と切り捨てればいい――そう簡単ではないのが、自治体のカスハラ対策だ。たとえば「保育園の声がうるさい」「道路を直してほしい」といった住民の訴えには、行政が向き合うべき問題が含まれていることもある。職員を守りながら、住民の正当な要求も見落とさない。その難しさとは。※本稿は、大阪経済大学国際共創学部准教授の山谷清秀『クレームvs公務員――「住民の声」というジレンマ』(筑摩書房)の一部を抜粋・編集したものです。
要求は正当なのに暴言が混ざると
対応は一気に難しくなる
住民のクレームが正当か不当かは一見区別がつきません。目の前にやってきた住民が、真に困りごとを抱えている住民なのか、それとも嫌がらせや不当要求をする住民なのかは、相当程度のリピーターでもない限り、話を聞いてみないとわかりません。苦情対応の初動においてこの点はもっとも重要なジレンマになりますし、迷惑行為や悪質クレームの行為者を簡単には排除できない理由の1つです。
たとえば道路の左折専用車線の標識が薄れて消えかかっていて、その補修を要求しに来た住民がいたとしましょう。その要求自体は正当ですし、担当部署としては対応しなければならないでしょう。
ただその要求を聞いている際に、「道路くらいすぐ直さないか!この税金泥棒め!!」などの暴言が次第に混ざってきたら、どう対応するのが適切でしょうか。その要求自体は正当であるため、その攻撃的な言葉によって対応職員がどれだけ心のダメージを負ったとしても、「カスハラです!今後対応はいたしません」というわけにはいかないでしょう。大きなストレスを抱えながらも住民の要求を聞いて、対応を考え、説明していかなければなりません。こうしたジレンマは、全国の自治体の現場で抱えているもっとも典型的な事案でしょう。







