オフィスに集まる若い男女写真はイメージです Photo:PIXTA

「会社が嫌ならすぐ辞める」「年功序列を嫌う」「周囲に縛られない」――そんなイメージで語られがちなZ世代だが、実態はむしろ逆かもしれない。職場の空気を読み、嫌われることを恐れ、安定を求める若者たち。自由を謳歌する「新しい世代」のはずが、実は誰よりも「日本的な組織」に適応している。その意外な実像から、日本企業が抱える根深い問題が見えてくる。※本稿は、組織学者の太田肇『なぜ「賢い人」が集まってしょうもない意思決定がなされるのか』(日本経済新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。

Z世代は旧来の悪習を断ち切る
イノベーターになるか

 閉塞感に満ちた共同体型組織。その古びた空気を入れ換え、組織を一新する力。それを新しい世代に期待するのは、今や日本企業の「定番」ともいえる風景だ。

 その期待を一身に背負わされているのが、「Z世代」、すなわち1990年代後半から2010年代前半までに生まれた若者たちだ。おおむね20代以下の若手社員がそれにあたる。

 彼らに対して世間が抱くイメージは比較的鮮明だ。デジタルネイティブとしてスマホやSNSを使いこなし、競争よりも個人のワークライフバランスを重視する。縦の階層よりフラットな人間関係を好み、会社への帰属意識は希薄。いやなことがあれば未練なくさっさと辞めてしまう――。

 一見すると、彼らは周囲の評価やしがらみにも囚われない自由な新しい世代のように映る。もしそうであれば、彼らこそが共同体型組織の殻を突き破り、旧来の悪習を葬り去る破壊的イノベーターになるはずだ。

 だが、現実はそれほど単純ではない。

 たしかに、彼らは表面上、これまでの世代とは異質な存在に見える。しかし、その意識と行動のギャップを注視すると、別の側面が浮かび上がる。