「もっとお金があれば、やりたいことができるのに」「今は忙しくても、稼げるうちに稼いでおきたい」そう考えて、仕事を優先している人は少なくないでしょう。もちろん、お金は人生の選択肢を増やしてくれる大切なものです。しかし、お金を増やそうとするほど、かえって「豊かさ」から遠ざかってしまうことがあります。世界190か国以上を訪れ、「時間」と人生の関係を考え続けてきたクリス・ギレボー氏は、著書『人生は気づかぬうちにすぎるから。』で、お金とは決定的に異なる「時間」の性質について語っています。「もっと稼げば豊かになれる」と考える人が見落としていることとは、何なのでしょうか。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

「お金持ちになれない人」がやりがちな考え方・ワースト1Photo: Adobe Stock

「まずはお金が必要」は正解なのか?

「もっとお金を稼いでから、好きなことをしよう」
「今は仕事を優先して、余裕ができたら旅行に行こう」
「忙しいけれど、今頑張っておけば、いつか自由になれる」
そんなふうに考えたことはないだろうか。

将来のためにお金を稼ぎ、貯めることはもちろん大切だ。
生活にはお金が必要であり、収入が増えれば、できることの選択肢も広がる。
しかし、お金を増やすことばかりに意識を向けていると、見落としやすいものがある。

それが、時間には限りがあるという事実だ。
収入を増やそうとして、仕事を詰め込む。
空いている時間にも予定を入れる。
少しでも効率よく働こうと、スケジュールを細かく管理する。

ところが、やるべきことを増やせば増やすほど、「まだ足りない」「もっと時間がほしい」という感覚から抜け出せなくなることがある。

過ぎ去った時間は、二度と取り戻せない

『人生は気づかぬうちにすぎるから。』では、時間を管理しようとすることについて、次のように述べられている。

しかし、そのようなことをしていると、結局はストレスが溜まってしまう。やるべきことが多すぎて、混乱してしまう。やるべきなのに、手をつけられていないことがある。やめたいのに、やめ方がわからないことがある。
1日の終わりには、「あっという間に今日が終わってしまった。時間はどこへ行ってしまったのだろう?」と疑問に思う。
つまりタイムマネジメントは、時間不安に対処できるものではない。いくら時間を管理しても、今日1日、あるいは人生全体の時間が足りないという感覚からは逃れられないのだ。

――『人生は気づかぬうちにすぎるから。』より引用

どれだけ効率を上げても、一日が24時間であることは変えられない。
だからこそ、「もっと働けばいい」「もっと効率よく時間を使えばいい」と考え続けるだけでは、いつまでたっても余裕は生まれない。

そして、お金と時間には、決定的な違いがある。
牛乳を切らしたら、スーパーに行けばいい。お金がなくなったら、働くなどしてお金を手に入れればいい。しかし、いったん過ぎ去った時間は、二度と取り戻せない。

――『人生は気づかぬうちにすぎるから。』より引用

お金は、使ってもまた稼ぐことができる。
しかし、今日の一時間を使ってしまえば、その一時間をあとから稼ぎ直すことはできない。
「もっとお金があれば幸せになれる」と考えて仕事を増やし続け、そのために会いたい人との時間や、やってみたかったこと、何もしないで過ごす時間まで削ってしまう。

そうして何年もたってからお金が増えたとしても、そのために使った時間だけは戻ってこない。
お金を大切にすることと同じくらい、自分の時間を何に使うのかを考える。

「いくら稼げるか」だけではなく、そのお金を得るために、どれだけの時間を差し出しているのか。
そこまで含めて考えることが、自分にとって本当に豊かな生き方を選ぶために必要なのではないだろうか。