原因は、同居してすぐに始まった介護の負担と、誠さんの「事なかれ主義」でした。
無料の介護要員として
家に入れられた妻の不満
結婚当初、智子さんはこれまでどおり正社員として働き続けるつもりでした。ところが、同居してまもなく誠さんの母親の足取りが不安定になり、認知症の初期症状も見つかりました。一人にさせておくことに不安を感じるようになりました。つまり、日中に家を空けることが難しくなったのです。
夫の誠さんは、仕事を休めないと言います。息子夫婦は「共働きでキャリアを積む大事な時期だから」と言い、介護も家事も手伝おうとしません。
そういう状況ですから、介護は嫁いできたばかりの智子さんひとりに集中しました。智子さんは会社に事情を伝えて勤務日数を減らし、欠勤や時短勤務で義母の世話をすることになり、収入は大きく減りました。
「都合のいい無料の介護要員として家に入れられた」と、智子さんが不満を募らせるのも無理はありません。しかし誠さんは、前の妻を亡くして寂しい思いをさせた息子に負い目があるのか、「介護や家事を分担してほしい」「生活費をもっと入れてほしい」と言うことはなく、状況が変わることはありませんでした。
さらに誠さんは、智子さんの不満に気づいていながら、きちんと話し合うことを避け、お金で解決しようとしました。
疲れた智子さんが夕食を作れず、ピザや寿司などの高いデリバリーを頼んでも、駅ビルで割高なお惣菜を買ってきても、「苦労をかけているから仕方がない」で済ませてしまいます。息子夫婦もその食事を一緒に食べます。智子さんがストレス解消のためにネット通販で服や日用品を次々に買っても、誠さんは口を出しませんでした。
加えて、要介護の母のためにエアコンを24時間つけ、洗濯機も1日に何度も回すようになったため、水道光熱費も大きく増えました。
「妻に申し訳ないと思っていて、お金のことは言い出せませんでした……」と、誠さんは肩を落とします。
毎月お金が残らないのは、家計管理が原因なのではなく、毎月お金が残らない原因は、家計管理の方法だけでなく、母親の介護や息子の甘えと向き合わず、償いのように支出を許してきた後ろめたさから支出を見直せずにいたことにあるようでした。まず、ここを改善しなければ、家計状況は良くなりません。







