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大企業で「正しい」とされてきたやり方を、そのまま出向先でも押し通した元・管理本部長は、わずか1年で孤立した。一方、同じように大企業で管理本部長を務めた別の男性は、まず現場を回り、「学ばせてください」と頭を下げた結果、3年後には会社になくてはならない存在になった。同じ経歴なのに、なぜ明暗が分かれたのか。成功体験が武器から「足かせ」に変わる人、変わらない人の決定的な違いとは。※本稿は、経営コンサルタント・僧侶の安永雄彦『定年で終わる人、終わらない人 豊かに生きるための5つの智慧』(講談社)の一部を抜粋・編集したものです。
大企業流を押しつけた
元・本部長は孤立した
Hさんは、大手製造業で30年間管理部門を担当され、最後は管理本部長を務められた方でした。そして、55歳で関連会社の管理担当役員として出向されました。出向先は従業員300名ほどの中堅製造業でした。
Hさんがいた大企業では、管理会計システムが完璧に整備されていました。月次決算、部門別損益、製品別収益性、予実管理。すべてが数値で可視化され、ボタン一つで詳細なレポートが出力される。30年間、Hさんはその精緻な数値を管理することで、優秀な管理者として評価されてきました。
しかし、出向先の中堅企業は違いました。管理会計は不十分で、財務会計が中心。部門別損益は大雑把で、製品別原価計算も簡易的なものでした。どこが黒字でどこが赤字なのかさえはっきり分かりません。経営判断は、現場感覚と経営者の直感に頼る部分が大きかったのです。
赴任1カ月目、Hさんは愕然としました。
「こんな管理体制で、本当に経営ができるのか」
2カ月目、Hさんは改革を提案しました。
「まず、大企業並みの管理会計システムを整備すべきです。○○システムを導入すれば、部門別・製品別の収益性が正確に把握できます」







