絶対王者ダイキンの死角 空調グローバル大戦の行方#3Photo:PIXTA

幅広い業界で年功序列見直しの動きが進むが、ダイキン工業では長年会社に奉仕してきたシニア社員に“優しい”人事制度を採っている。目立った実績がなくとも給与水準が維持される上、2024年に管理職の役職定年が廃止となったことで、制度上は60歳で年収1500万円を得ることも可能なのだ。特集『絶対王者ダイキンの死角 空調グローバル大戦の行方』の#3では、ダイキンと同様、空調事業を手掛けている日立製作所やパナソニック ホールディングスと比較しながら、ダイキンの管理職への出世のタイミングやその年収の実態を公開するとともに、シニア人材の積極活用がはらむ問題点を明かす。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)

定年退職者の「9割が再雇用を望む」ダイキン
シニアに“優しい”人事制度とは

 井上礼之氏の陣頭指揮の下、空調業界でグローバルトップに上り詰めたダイキン工業。その飛躍を支えてきたのが、グループ全体で10万人を超える社員たちだ。

 あるダイキン幹部は、「当社の社員は皆、会社に愛着を持っているので、自己都合で退職する人は少ない。特に中高年の帰属意識は強く、定年退職者の約9割が再雇用を望む」と満足げに語る。

 実は、ダイキンは会社に長年尽くしてきた社員にかなり“優しい”人事制度を採用している。幅広い業界で年功序列見直しの動きが進む中にあっても年長者を優遇する仕組みが残っているのだ。2024年には「井上氏の意向」(前出のダイキン幹部)によって管理職の役職定年が廃止となったことで、制度上は60歳で年収1500万円を得ることも可能になった。

 ベテラン層を優遇する人事制度に対し、一部の若手社員からは不満の声が上がっている。不満の要因は役職定年の廃止だけではない。同社では、出世頭の中堅社員には好待遇を用意している一方で、目立った実績を上げていない社員でも、給料が下がらないスキームになっているのだ。いったいどういうことか。

 次ページでは、日立製作所やパナソニック ホールディングス(HD)と比較しながらダイキンの給与や出世の実態を公開するとともに、シニア人材を積極登用する人事制度がはらむ問題点を明かす。