人に仕事をお願いするのが苦手で、気づけば何でも自分で抱えている。仕事が立て込んでくるほど、どこまで自分でやるべきか迷う場面も増えてくる。そんな働き方が当たり前になっている人もいるだろう。人に頼ることに抵抗があると、自分だけで何とかしようとしてしまうことがある。『仕事・人間関係で損する人、得する人』の著者・伊庭正康氏に、人に頼ることへの抵抗を減らし、周りの力を借りるための考え方を聞いた。(構成/照宮遼子、ダイヤモンド社書籍編集局)
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「自分でやったほうが早い」と考えてしまう
――誰かに頼るのが苦手な人には、どんな傾向がありますか。
伊庭正康(以下、伊庭):私も、どちらかといえば人にお願いするのは苦手なほうです。誰かに頼むより、自分で片づけたほうが早いし、仕上がりにも納得できる。そう考えて、つい自分でやろうとしてしまいます。
――自分でやったほうが早いと思うときでも、人に頼る必要があるのはどんな場面ですか。
伊庭:実際の仕事は、自分だけで完結するものばかりではありません。周囲と協力して進める場面も多いので、「自分にとってやりやすいかどうか」だけで決めないことですね。「全体にとってどちらがいいのか」まで考える必要があります。
「1人のトップセールスがいるより、90点の営業が5人いるほうが、会社は強い」
――では、実際に仕事を分担するときは、どのように考えていますか。
伊庭:たとえば、自分でやれば5時間かかる仕事も、5人で手分けすれば1時間ほどで終えられる場合があります。自分だけの作業時間ではなく、「チーム全体でどちらが効率よく進められるか」を考えることが大切です。
――個人の能力だけではなく、組織全体として考えることが必要になるわけですね。
伊庭:私はよく、「1人のトップセールスがいるより、90点の営業が5人いるほうが、会社は強い」と言っています。一人の力に頼るより、何人もの人がそれぞれに力を発揮できるほうが、組織としては強くなります。
損をする理由:ひとりで抱え込むほど、新しいチャンスを逃しやすくなる
――人に頼らず仕事を抱えていると、どんな影響がありますか。
伊庭:仕事を抱え込みすぎると、新しいチャンスが来ても、すぐには動けません。せっかくの機会を生かしたくても、そのために使える時間がなくなってしまうからです。
――仕事だけでなく、職場での関係にも影響が出てくるんですね。
伊庭:そうですね。また、何でも一人で進めていると、周囲から「あの人には頼みにくい」と思われるようになります。そうなると、いざ自分が困ったときにも声をかけづらくなり、協力し合う機会も減ってしまいます。
「少し手を借りる」ところから始める
――人に頼ることに抵抗がある場合、どこから始めればいいですか。
伊庭:まずは、自分でなくてもできる仕事を一つ選んで、誰かにお願いしてみてください。最初から重要な仕事を頼むのではなく、小さなことから頼ってみるのがいいと思います。
――人に仕事をお願いしやすくするには、どんなふうに考えるといいでしょうか。
伊庭:「相手に仕事を任せる」と考えると、責任ごと相手に渡すように感じて、ハードルが高くなりがちです。そんなときは、「少しサポートしてもらう」と考えてみてください。
小さなお願いを少しずつ増やしていけば、人の力を借りることへの抵抗も薄れ、お互いに助けを求めやすい関係をつくっていけます。
――人に頼ることは、組織で仕事をするうえでも大切なんですね。
伊庭:一人で頑張ることだけが、組織にとっていいとは限りません。『仕事・人間関係で損する人、得する人』では、どこに行っても評価される人の仕事の進め方についても触れています。自分だけで抱え込まず、お互いに少しずつ頼り合える関係をつくっていくことが大切なのです。








