何度も見比べては吟味をして、箱を開けては閉じ、閉じては開け、30分近く悩んだ末に、その中で一番かっこいいと思った戦闘機のプラモデルを買ってもらいました。それがさきほどの2つのミニジェットです。とにかくタミヤの箱のデザインがかっこよくて、子どもながらに他のメーカーとは一線を画すこだわりを感じたのです。
生まれて初めて手にしたもので、その後の人生が変わるということが本当にあるのか分かりませんが、この時代のプラモデルは、モーターやゼンマイ動力で走ることが基本で、プロポーション(プラモデルの形)は二の次の「(自動車や戦車などの)動く模型」、「サンダーバード」のような人気テレビ番組に登場した「キャラクターキット」などがありました。他方で動かないけれど何分の一という正確な縮尺を謳い、すでに子どものオモチャの次元を超えた「スケールキット」というプラモデルもあって、私はそちらを選んでいたのです。
「ダッソーミラージュ3C」と「イリューシンIL-28ビーグル」の箱は、今の目で見てもほれぼれする素晴らしいデザインです。組み立て説明書の詳細な解説文は、当時の小学3年生には難解すぎて「すごい!いつかこういう文章も読める大人になれるのかな?」と思いましたが、「これは子どもだましのオモチャじゃないぞ……」という興奮も感じていました。今思えば、ちょっと背伸びをしてでも憧れたものに手を伸ばす、という私の性分はこの時から形作られてきたのかもしれません。
待ち続けた少年に届いた
タミヤからの思わぬ返事
小学4年生になったばかりで、憧れのタミヤと思いがけず交流する出来事がありました。購入したプラモデルの中に、明らかにメーカー側のミスと思われる成形不良の小さなパーツがあったのです。その部品がないと模型が完成しないので、「どうしよう……」と悩んだ末、私はあることを思いつきました。
「勇気を出して、タミヤに手紙を書いてみよう!」
当時は、プラモデルの説明書に部品請求カードが印刷されていてタミヤの問い合わせ住所が書いてありました。請求カードはこちらが誤って部品を無くしてしまった時などのためにあるのですが、今回は明らかにメーカー側のミスです。それまで文通もしたことがなかったので、自分でもどこから便箋を用意したのかはよく覚えていませんが、鉛筆を握って何度も何度も書いては消しゴムをかけながら、子どもなりに必死で文章を考えました。







