明治大学教授の齋藤孝など
多くの学者を輩出
「卬高(こうこう=高きを仰ぐ)」という格調高い校訓を持つ。秀峰富士を校窓から眺める県立静岡高校ならではの校訓だ。静岡県人はのんびり屋タイプが多いといわれるが、静岡高校の卒業生はそんな俗説を跳ね飛ばすかのように多方面で活躍している。
メディアに頻繁に登場し、顔がよく売れている卒業生は明治大学教授で教育学者の齋藤孝だ。2001年に出した『声に出して読みたい日本語』(草思社)がベストセラーになったのをきっかけに、ビジネス書など多くの著書を出し、テレビではバラエティー、情報番組のキャスターやコメンテーターとして活躍している。
齋藤は静岡高校から東京大法学部に進学、大学院では教育学を専攻しコミュニケーション能力を高める研究を続けてきた。
文化勲章の受章者が、2人出ている。前身の県立静岡中学時代の卒業だが、医学者で名古屋大総長を務めた勝沼精蔵と、言語学者で『広辞苑』の編集者だった新村出だ。
日本学士院賞は、日本の学術賞として最も権威ある賞として知られる。静岡高校の旧制、新制時代を通じた卒業生の中で、9人もの学者がこの賞を受賞している。
木質科学が専門で「セルロースナノファイバー」の研究をしている磯貝明、気象学の近藤豊、動物生態学の長谷川博、分子生物学の岡田吉美、仏教学の梶山雄一、中古文学の松村博司、鯨類研究の大村秀雄、農業土木の寺尾博、それに前述の勝沼だ。
日本学士院賞受賞者を多数出している高校の例としては、宮城県立仙台第二高校の7人がある。
理系の学者では、河川工学の高橋裕、地震工学の小長井一男、建築構造学の梅村魁(はじめ)と松下清夫、気象学の斎藤錬一と三宅泰雄、橋梁技術者で元東大教授の田中豊、通信工学者の吉田庄司らが卒業生だ。
室田真男は教育工学者で、東京工業大リベラルアーツ研究教育院教授だ。
原田慶恵は生物物理学者で、大阪大蛋白質研究所教授だ。子どもの時から理科が好きだったという「リケジョ」(理系女子)だ。
五島綾子は化学者・科学史家で、07年に『ブレークスルーの科学』の著作でパピルス賞を受賞した。