「ゴチ」「リアコ」に見る
若者言葉の造語の仕組み
若者は、新語を生み出す天才です。とはいえ、新語はある日突然、降って湧いてくるものではありません。いったい「バズる」言葉はどのように生み出されるのでしょうか。
基本は短縮です。若者のコミュニケーションはスピードが命。言葉をできるだけ端折って伝えようとします。名詞ならゴチ(ごちそう)、タイパ(タイムパフォーマンス)等。形容詞ならキモい(気持ち悪い)、ハズい(恥ずかしい)、動詞ならツボる(ツボにはまる)、コクる(告白する)等々……。
複数の語を組み合わせ、レベチ(レベルが違う)、ドタキャン(土壇場でキャンセル)、リアコ(リアルに恋してる)。固有名詞ではスタバやロイホ。マクドナルドのように関東(マック)と関西(マクド)で異なる短縮語もあります。
短縮以外では、語尾に言葉をつけるパターンも。「うれしみ」「やばみ」「おいしみ」のように形容詞に「み」をつけて名詞のように使ったり、「~活」「~ハラ」「~詐欺」をつけたり。「~の説」のように、勝手な仮説にもっともらしく「説」をつけて「ちぐはぐ感」を楽しむのは、もはや若者言葉の域を超えているかもしれません。
新語の中には定着するものもあればすぐに消えるものもあります。「盛る」「ウケる」「ドタキャン」などはすでに辞書に載っていて、若者言葉とは言えなくなっています。
一般に、漢字からイメージが湧く言葉は残りやすいようです。たとえば「盛る」だと「ご飯を盛る」「大盛り」などの共通概念があるので、新しい概念も共有されやすいのでしょう。一方、「マジ卍」のようにノリや言葉遊びから生まれた言葉は定着しにくいようです。
ただし、定着した言葉も下の世代に継承されないと「老人語」になってしまいます。たとえば今の若者たちが「マジ」「ガチ」「やばい」を50年使い続けたとしても、下の世代が使わなければすべて「老人語」になってしまうというわけです。
いったん死語になった言葉が「レトロでかわいい」と再発見されるケースもあります。1980年代の音楽用語「エモ」が今世紀「エモい」という言葉でブームになったのは典型例です。とはいえ、すでに「エモいも死語になった」という人もいますから、言葉の変遷はまさに泡のようにうつろいやすいと言うほかありません。







