現場で働く人たち写真はイメージです Photo:PIXTA

世界的に、高収入を得られる技能職、いわゆるブルーカラーが注目されている。一方、ホワイトカラーからブルーカラーへの転職には、注意もあるという。日本の公共職業訓練やデジタル技術の進展を踏まえて、「仕事選びの可能性」を考察してみよう。※本稿は、調達・購買コンサルタントの坂口孝則『ブルーカラービリオネア エリートより稼ぐ「奴ら」の正体』(幻冬舎)の一部を抜粋・編集したものです。

日本の公共職業訓練は
コスパが高い場所といえる?

 米国ではホワイトカラーへの就職を拒否する若年層を「ツールベルト世代」と呼ぶ。大学でなく職業訓練校を選び、工具ベルトを腰に巻く現場職を志向する若者のことだ。大学=カレッジから、職業訓練校=トレード・スクールへの流れが加速している。

 つねに時代の正解は若年層が嗅ぎ取る。2人の18歳がいるとする。1人は大学へ、1人は職人の見習いになる。当然、前者にほとんど収入はないが、後者は3万ドルを稼ぐ。

 22歳になり前者が大学を卒業し4万7000ドルを稼ぐときには、後者は6万3000ドルを稼げるようになっている(全米建設教育研究センター=NCCERによるキャリア比較)。米国で話題になっているとおり、前者は学生ローンの返済も背負う。

 ブルーカラーの金持ちは、見栄えのいいスーツを着ていない。ホワイトカラーのように都市部でのバリキャリライフをインスタグラムに投稿することもないかもしれない。

 ただ彼らは現場作業からはじめ、ホワイトカラーには想像もつかない形でホワイトカラーを逆転しようとしている。そしてブルーカラー「ビリオネア」なる単語まで人口に膾炙しはじめた。

 米国で職業訓練校はトレード・スクールと呼ばれ、通常は1、2年で修了する。その後に初年度からHVAC(暖房、換気、冷房・空調)などは5万ドル≒790万円を稼ぎ、数年後には10万ドル≒1580万円にいたることは珍しくない。

 また日本の公共職業訓練は、世界でももっとも費用対効果の高い場所といえる。というのもポリテクセンター(職業能力開発促進センター)は離職者なら受講料がほぼ無料だ。テキストの代金負担はあるものの、それだけで金属加工や住宅CADリフォームなどのコースを受講できる。訓練中は失業給付が延長できる。

 さらに都道府県の職業能力開発校はより多くのプログラムをもちながらも、受講費は格安だ。もっともPR不足からか、普通の会社員は知らないのではないだろうか。たとえば電気工事士の学習には10万円程度しかかからない。

 ただ、ここで冷静に付け加えておこう。もしホワイトカラーからブルーカラーに転身しようとする際に問題はある。