工場で働く人写真はイメージです Photo:PIXTA

大手自動車部品メーカーとも取引する技術力を持ちながらも、後継者が決まらない日本の町工場がある。かたや米国では配管や空調の修理業者が投資ファンドの買収対象となり、経営者が大きな資産を得るケースがある。なぜ、これほど異なる道をたどるのか。※本稿は、調達・購買コンサルタントの坂口孝則『ブルーカラービリオネア エリートより稼ぐ「奴ら」の正体』(幻冬舎)の一部を抜粋・編集したものです。

高い技術を持つ町工場でも
後継者は決まらない

「帰ってくるはずないじゃないですか」

 私は日頃から日本中の製造現場に足を運んでいる。2020年から2023年くらいまではコロナ禍でお邪魔するのが憚られた。しかし2024年以降は訪問ができるようになり、以前の仕事に戻った。

 この数年で、経営者の平均年齢は、その年数ぶん加算された。すなわち、事業が承継されていない。経営者がそのまま加齢している。

 ハーネスの組み立て企業に見学に行ったときのことだ。大企業と違い大規模な設備などないが、治具などの工夫で効率化を実現できている。また経営者の人的なつながりで、大手の自動車部品メーカーにも食い込んでいる。

 そこで質問した。「次の経営者は決まっているのですか」。決まっていません。そうですか、ならばご子息は?そう再質問したときに返ってきたのが冒頭のそれだった。

 私は高卒ですが、息子は進学校に進んで慶應義塾大学に進学しました、と。いまさら地方に戻って、町工場を継ぐ気なんてありませんよ、と。事業承継なんて幼いころから洗脳しなきゃ無理ですよ、と。そして、時代は変わったんですよ、と。

 しかし、同時に真逆の話も聞いた。