さらに夫婦の話し合いの中で咲子は、バツイチではなくバツ4であることも告白する。それを隠して充と結婚していたのだ。ここで急に松山ケンイチがコメディのような演技を披露するのだが、視聴者からしてもそうでもしないと受け止めきれないだけの衝撃ではある。
まさかのバツ4。ネットニュースのタイトルでも「バツ4」は強烈で引きがある。バズを狙ったのでは……と思わず穿った見方をしてしまう。
充だけが変な人かと思っていたら、咲子も大概だった。ここで初めて、なぜ蒼井優がこの作品で地上波ドラマ18年ぶりの主演を果たしたのかがわかるような気もしてくる。かつて一部で「魔性の女」とも呼ばれた蒼井優。帰らぬ夫を待つだけの役では収まらない演技の幅がある。
蒼井優が演じると「バツ4、あり得ない」ではなく、「言われてみればそうだよな」と腑に落ちるから不思議である。
咲子が充に離婚を切り出し、この変な夫婦は最終的に「名前のない関係」となって終わる。ラストシーンで咲子が家に迎え入れるのは充なのか樹生なのか、それとも他の誰かなのかは視聴者の考察に委ねられる。
「バツ4」「KY夫」「謎の訪問者」…視聴者を翻弄した違和感
ドラマについての反応は概ね、「充の帰還」「咲子のバツ4」「園田夫婦の受難」「ラストで訪れるのは誰なのか」についてが多いように感じられる。これらについて、どのように捉えればいいのかわからない「違和感」を見る側にもたらすのである。
まず、前半の謎を解く鍵は充にあり、視聴者も充の再登場とその語りを待っていたはずなのに、帰ってくるタイミングが思ってたのと違うという仕掛けが面白い。繰り返しになって申し訳ないが、好感度俳優の松山ケンイチがただのKYにしか見えないのだからたまらない。
咲子のバツ4については、通常のドラマならやらないであろうぶっ飛び展開であり、今後のドラマ史上で語り継がれることになるのではないか。そんな設定が途中からアリならなんでもアリだろ……と思ってしまうのだが、ここから視聴者たちによる深い考察が生まれていることを考えれば脚本家の勝利である。
園田夫婦が気の毒であることには、異論が少ないだろう。あずさが主体的に充について行った末のバス事故であったとはいえ、死のきっかけを作ったのは充である。そして咲子がバツ4であった衝撃は樹生にもあるはずなのに、そのくだりが省略されていることにはモブみがある。
これは2組の夫婦の物語ではなく、園田夫婦を振り回した瀬尾夫婦の物語であった。
ラストで訪れるのは充だろうという考察が多いのも納得で、残念なことに後半は樹生の存在感が薄いのである。







