いや、ちょっと信じられない。まず小児外科に比べれば、大人の外科なんて全然緊急手術は多くない。それに緊急手術は、本当に困っている人を助ける仕事だから、やりがいがあるではないか。ホワイト度にこだわるというのが今の時代のトレンドなのだろう。
それから、開業するときには多くの医師は患者の需要にあわせて内科医に転向することになるので、それも不人気の理由かもしれない。
未来の医療はどうなるのか?胃がんは減ったが、大腸がんは日本のがんの症例数1位である。緊急性の高い大腸がんに罹っても、手術の順番を待ち続ける……などという時代は来ないでほしい。
確かに、医者の世界は報酬的に報われないことが多い。医学博士になっても、専門医になっても、指導医になっても給与は上がらない。よく医者は金持ちと言われるが、それは一部の開業医のことであって、勤務医の給与は(大学病院は教官なのでしかたないが、一般の病院勤務であっても)大したことはない。アメリカとは大きな差がある。週末にしっかり休みたい、平日も家族と一緒に夕食を摂りたい、そして高い報酬もほしい。そうした考えの若い人が増えているのかもしれない。
年間約200人の医者のタマゴが
美容外科へ直行している
さて、そこで直美である。
直美という言葉は2024年くらいから人口に膾炙するようになったので、これは「なおみ」ではなく、「チョクビ」と読むと知っている人も多いだろう。
初期臨床研修を2年間積むと、保険医になることができる。つまり保険医療を使った普通の医者になれる。ここから先は、自分の専門を決めて専攻医として研修をするのが普通だが、専攻医を経ずしていきなり美容外科に行く若手医師が、いま、毎年約200人いると報告されている。直接美容外科、略して直美である。200人と言えば、医学部2個分である。
もちろん美容外科は自由診療。料金を自由に設定できるので、収益が大きい。ぼくら普通の開業医とは10倍くらい年収が違うはずだ。実際、初期研修の終わった(半人前の)医師を、年収2000万円以上としてリクルートしている。医者3年目で年収2000万円!教授の給料の2倍じゃないか。







