自由診療とはいえ、なぜそこまで高額報酬なのか。それは美容外科のマーケットが拡大しているからだ。今の時代、プチ整形なんて当たり前でしょ?
昭和の時代、美容整形は隠れてやるものだった。しかし今は手術を受けてSNSで発信する時代である。美容の医師も積極的にSNSでビフォー/アフターの写真を出していたりする。こうなると医師だかYouTuberだか分からない。
厚労省の調べによると、2025年までの15年間で美容外科クリニックの数は2倍に、そこで働く医師は3倍に急増したという。それも30代以下の若手の数がぐんぐん増えている。消化器外科とはえらい違いである。
『大学病院の正体 手術、人事、教育、研究のすべて』(松永正訓、中央公論新社)
では、初期研修を終えただけの若手医師がきちんと美容整形をできるのだろうか。答えはノーで、現在この業界ではトラブルが頻発していると聞く。それはそうだろう。初期研修などは学生の延長のようなもので、メスを持ったことのない医者も多数いるはずだ。
レッドオーシャンという言葉がある。競争が激しく、業界に参入している人が多い状況を指す。大都会の美容整形の業界は競争過多のレッドオーシャンになっている。今後トラブルが続けば、業界全体がしぼみ、直美の医師も減るかもしれない。まっとうな医師が主流になってくれればいいのだが、悪貨が良貨を駆逐することにならないでほしい。
いずれにしても、医師を志す若者の価値基準は変わってきている。ホワイト度の高い診療科、高収入が得られる診療科を選ぶことに何らためらいのない医師が増えているように見える。そうした価値基準を否定してしまうと、ぼくは時代遅れと言われてしまうので何とも複雑な気持ちになる。







