まず、スペイン高速鉄道の費用(コスト)から見ていこう。実は、「建設コストが低い」という点では世界的にも優れた実績を持つ。エンジニアリング企業Inecoの調査(2023年)によると、スペイン高速鉄道の建設費は1km当たり平均1770万ユーロであり、諸外国の平均4550万ユーロを大幅に下回っている。

 ちなみに、日本が世界に誇る新幹線の建設コストは高い。トンネルや橋梁が多く、用地買収費も高額だからだ。2022年時点で1kmあたりの建設コストは約6640万ユーロ。スペインの約3.75倍もかかっている。

日本の新幹線の4分の1で建設も、利用実績は9分の1…「スペイン高速鉄道」が抱える“深刻な問題”出典に記載した参考文献などを基に生成AIも活用して筆者作成
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 とはいえ、建設コストが低いことが必ずしも投資の合理性を保証するわけではない。問題なのは採算だ。

 鉄道の採算性を図る指標では、「営業距離当たり年間旅客輸送量」が一般的だ。そこで、日本、中国、韓国、フランス、ドイツ、イタリア、スペインの高速鉄道を比較すると、スペインは約450万人/km・年と最も低い水準にとどまることがわかった。

図表:主要7か国の高速鉄道 営業キロ当たり年間旅客輸送量の比較出典に記載した参考文献などを基に生成AIも活用して筆者作成
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 これは、7カ国で1位となった日本の新幹線と比較すると約9分の1。大赤字が指摘されている中国と比べても2分の1以下だ。地方都市間に路線が多いフランスTGVやドイツICEと比べても低い。