インターネットを通じて膨大な写真などのコンテンツを配信する米ゲッティイメージズ(本社・シアトル)。世界中の報道機関や企業、オンラインサイトを顧客にする「ストックフォト」の世界最大手は、デジタル時代を先取りしたサービスを次々と生み出している。島本久美子日本法人社長と、小林正明アートディレクターの両氏に、ライセンスビジネスのトレンドについて話を聞いた。(聞き手/週刊ダイヤモンド編集部 後藤直義)
SNSの台頭で変化した
写真のコミュニケーション
――まずゲッティイメージズの事業概要を教えてください。
1991年、神戸大学経済学部を卒業して大阪ガス入社。01年にイメージネット(現・ゲッティイメージズ)入社、欧州やアジアのセールスディレクターを歴任。現在はセールス担当バイスプレジデント兼日本法人社長。
Photo by Ryosuke Shimizu
島本 私たちは一流のプロカメラマンや通信社、スポーツ団体から提供されたり、アマチュア写真家から寄せられた1億3000万点を超える写真コレクションを中心に、130万点の映像、30万点の楽曲といったコンテンツを、B2B(法人企業顧客向け)を中心に世界中に配信しています。
都市部では昔から、膨大な写真を集めてライセンス(権利供与)をするストックフォトという業態はありました。それはまだフィルムが使われていた時代で、ポジフィルムの保管場所まで足を運んで借りて、やっと使える仕組みでした。
インターネットの時代に入り、オンライン上でコンテンツを検索し、購入することができるようになりました。当社はそういったサービスを世界で初めて提供してきた会社です。人々が写真を目にする場面は増えつづけており、このビジネスも大きく伸びています。
今年で創業19年目になりますが、2012年の売上高(全世界)は約10億ドル(約800億円)でストックフォトの業界で世界シェア1位の座にあります。
――近年、写真ビジネスのトレンドが大きく変わってきているようですね。
小林 この5年間、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の台頭によって、写真を使ったコミュニケーションの方法は大きく変わりました。