「自分は常に、成績優秀でなければならない」。
そのプレッシャーが……
しかし、どんなに優秀な人でも、圧倒的な業績を、安定して出し続けるのは容易ではありません。仕事には波があり、良いときもあれば悪いときもあります。もちろんKさんも例外ではなく、ある時期から少しずつ業績が落ちてきました。
とはいえ、自他共に認める「優秀者」であるKさんにとって、業績の落ち込みは許されません。「自分は常に、成績優秀でなければならない」というプレッシャーもあったのでしょう。あるときから、彼は他の営業部員のテリトリーを荒らしてまで、自身の業績を維持するようになったといいます。
ところが、そんな実情を知らないチームのリーダーは、依然として高い業績を出し続けるKさんを評価し、「みんなもこれぐらいがんばるように」と言い続けました。けれども、そんな歪んだ状況がいつまでも放置されるわけはありません。ついに他の営業部員から不満が噴出し、「テリトリー荒らし」の問題が露呈してしまったのです。
「テリトリー荒らし」を糾弾され、業績維持の術を失ってしまったKさんは、見る見る業績を落としていきました。結局はそのチームでの居場所もなくなり、別の部署へと異動していったそうです。