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国内発売予定がない「ニンテンドー2DS」は
任天堂海外市場の救世主になる!?

石島照代 [ジャーナリスト],小山友介 [芝浦工業大学システム理工学部教授]
【第40回】 2013年9月3日
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・マイクロソフト:Windows
 他の分野でPC市場と対等に争える勢力が生まれることに本能的な危機感を持っている(この危機感は、iPhone/iPadの登場で結果的に現実となった)。そのため、携帯電話、タブレット、ゲーム機、レジやATM等の組込機器等、ありとあらゆるコンピュータ端末でWindowsを動かす。ゲーム機は「リビングルームにあるコンピュータ」という位置づけ。

・ソニー:AV
 とにかく映像の美しいコンピュータを作る。AV機器としても使えるクオリティでハードを作る。リビングルームに置く映像機器、手元で音楽を聴くための機器、という市場を守る。

・任天堂:玩具
 新しい「楽しさ」「面白さ」を目指すためにインターフェイスに徹底的にこだわる。決して高い値段はつけない。

 ゲームハードを販売していないのでアップルは入っていないが、アップルも一言で表現するなら「ハッカー」となるだろう。コンピュータ好きが「自分が持っていたら楽しい、クールだ、と思えるものを作る」ことに徹底的にこだわる、というのがアップルの基本イメージだ。iPhoneやMacBookの質感までこだわった作りはその典型である。

任天堂はスマホ陣営との衝突を避け
子ども中心の玩具市場に籠城を続ける

 今回の2DS発売については、iPhoneを中心としたスマートフォンと正面からぶつかり合うことを事実上放棄したことを意味していると筆者(小山)は考えている。

 発売から約2年半たったが、任天堂3DSの売上は全世界累計で約3250万台である。前ハードであるDSの同時期の累計販売台数と比べても遜色ない数字だが、一方のiPhoneは2013年の1-3月のみで3743万台を売り上げる化け物である。新機種が出るサイクルもゲーム機よりずっと早く、部品の原価もゲーム機よりかけられるため、現行機種であるiPhone5は3DSよりも高性能である。通常のゲームハードのサイクルを5~7年とすると、今後3~5年は、性能面でiPhoneの後塵を拝することになる。

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石島照代
[ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

小山友介
[芝浦工業大学システム理工学部教授]

1973年生まれ。芝浦工業大学システム理工学部教授。2002年京都大学大学院博士課程修了。博士(経済学)。東京工業大学助教等を経て現職。東工大時代に経済シミュレーション研究に従事、そこで学んだコンピュータサイエンスの知識を生かしてゲーム産業研究を行なう。専門はゲーム産業を中心としたコンテンツ産業論と社会情報学。2016年6月末に『日本デジタルゲーム産業史』 (人文書院)を刊行。

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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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