米マイクロソフトは9月3日、フィンランドのノキアの携帯電話事業の買収を発表した。金額は54.4億ユーロ(約7140億円)。また買収完了後、ノキアのステファン・イーロップCEOがマイクロソフトに移籍することも、明らかになった。
ノキアといえば、業界では言わずとしれた「巨人」である。日本でもかつて端末を発売していたし、現在でも新興国では相変わらずプレゼンスがある。しかし、スマートフォン時代が到来してから、端的にいって低迷の一途を辿っていた。
両社は2011年に業務提携を結んだ(参考記事)。スマートフォンの端末開発に乗り遅れたノキアと、OSプラットフォーム競争で後塵を拝していたマイクロソフトが、タッグを組んだ格好だ。しかし、提携発表の当初から、両社は合併(というよりマイクロソフトがノキアを買収)するのではないか、と目されていた。
なにしろノキアは苦戦続きだし、マイクロソフトもモバイル分野では鳴かず飛ばず。両社が送り出したスマートフォン「LUMIA」シリーズは、それ自体は手にとって触るとなかなか魅力的な端末なのだが、ここまでは期待ほどの成果は得られていない。またノキアが徐々に資産整理やリストラを進めるなか、「そろそろ潮時か」とも目されていた。
今回の買収は、提携発表から1年半を経て、ようやく「結婚」が実現したという見方もできる。そこで今回は、この買収における両社の狙いと今後の可能性について、簡単にまとめておきたい。
狙いは何か
買収の大きな狙いは、ずばり単純に、マイクロソフトのハードウェア部門の強化に尽きるだろう。特にスマートフォンに代表されるパーソナルガジェットの強化は、喫緊の課題でもあった。これを正しく取り込みたいというのが、同社の狙いであることは明白だ。