個人で約4000万の口座を抱える三菱東京UFJ銀行が、ATMの利用手数料を、年内にも見直す方向で動き始めた。
見直しの大きなポイントは、「コンビニATMの有料化」だ。
現在、平日午前8時45分から午後6時まで無料にしている、コンビニエンスストアのATM出金手数料を105円に、平日夜間や土日祝日は105円から210円に引き上げる。
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一方で、同行の店舗内外に設置している自前のATMは、無料化の範囲を拡大する。土日祝日を含めて、昼間の出金手数料は無料とし、時間帯は午後6時から午後9時まで延長する方針だ。
今回の見直しに伴って、顧客の負担が過度に増えたり、利便性が大きく損なわれたりすることで、無用な反発を招かないよう「行内で相当議論を重ねた」(三菱UFJ幹部)という。
そもそも、インターネットバンキング加入などの条件を付けず、平日昼間にコンビニATMの出金手数料を無料にしているのは、3メガバンクで三菱だけだ。今回の見直しはコンビニでの優遇策をやめ、他行と同じサービス水準に戻すともいえるが、なぜ今見直しに動くのか。
慢性赤字のATM事業
「ワニの口」――。三菱UFJの幹部はATM事業のことをそう表現する。手数料による収入が伸びない中で、ATMの稼働・設置などの費用は年々膨らみ、事業自体は慢性的な赤字の状態にある。収入と支出の差が年を追うごとに拡大し、その推移を折れ線グラフで表すと、あたかもワニが口を開けているかたちに見えるのだ。
増大が続くATMの支出に、拍車をかけたのがコンビニATMだ。1999年に登場し、深夜などでもお金を引き出せる利便性が支持を受け、設置台数が急速に拡大。現在は全国で約4万1000台が稼働している。