ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
経営のためのIT

【マーケティングとIT】
ソーシャル時代の顧客と、企業はどう向き合うべきか

内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]
【第2回】 2013年9月19日
著者・コラム紹介バックナンバー
previous page
4
nextpage

 プール型コミュニティの消費者は、ブランドや商品に対する愛着やファン心理という意味で同一の価値観を共有しているが、必ずしも相互の交流があるとは限らない。このタイプのコミュニティに対しては、消費者を個別に捉え、マスに訴えかける従来型のマーケティングアプローチも依然として有効に機能する。

 一方、ウェブ型のコミュニティは、互いに交流し、メンバー同士は対等の関係である。SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)上のコミュニティの多くがこれに当てはまる。彼らは、互いに経験や評判をやり取りするため、ネガティブな情報が伝播しやすい。そのため企業は、コミュニティでの発言を注視しておくことが求められる。

 さらに、ハブ型のコミュニティになると、一部の強力な人物(インフルエンサー)の周りに引き寄せられる形で共感者の輪が形成される。多くのアクセスを集める影響力の大きなブロガーをアルファブロガー(欧米ではa-listブロガー)と呼ぶが、こうしたブログを中心に集まったコミュニティがハブ型の典型例である。また、SNSで非常に数多くの友達と繋がっている人もインフルエンサーといえる。

 そして、ハブ型の顧客コミュニティでは、インフルエンサーを中心として共感の輪が形成される。企業は、まずインフルエンサーを見つけ出し、その人を共感させる企業理念、製品/サービスのコンセプト、マーケティングメッセージを構築し提供することが求められる。

「インフルエンサー」を攻略せよ

 これらをインフルエンサーに訴求するには、これまでのように機能や品質の良さを伝えるのではなく、商品開発における逸話やこだわりといった感情に訴えるストーリーを作り上げる必要がある。

 インフルエンサーは、共感した企業側のストーリーに、自分の利用体験や活用シーンといった自分なりのストーリーを組み合わせて情報発信を行っていく。インフルエンサーとソーシャルにつながっている顧客や潜在的な顧客は、インフルエンサーのストーリーに共感し、その輪が拡がっていく。

 また、インフルエンサーおよびその周囲にいる顧客は、良い面悪い面を含めて情報発信をするが、その意見や感想は企業にとって重要なフィードバックとなる。

previous page
4
nextpage
IT&ビジネス
クチコミ・コメント

facebookもチェック

内山悟志
[ITR会長/エグゼクティブ・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。2019年2月より現職。


経営のためのIT

日々進化するIT技術をどうやって経営にいかしていくか。この課題を、独立系ITアナリストが事例を交えて再検証する。クラウド、セキュリティ、仮想化、ビッグデータ、デジタルマーケティング、グローバル業務基盤…。毎回テーマを決め、技術視点でなく経営者の視点で解き明かす。

「経営のためのIT」

⇒バックナンバー一覧