『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 究極の資産運用編』『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 至高の銀行・証券会社編』の著者・橘玲氏が海外投資をきっかけに広がったネットワークについて語る。
『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 至高の銀行・証券会社編』 1995円(税込)ダイヤモンド社刊 |
『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術 究極の資産運用編』 1995円(税込)ダイヤモンド社刊 |
はじめて海外投資に興味を持ったのは1998年の「金融ビッグバン」の時で、新聞や雑誌では「日本人が自由に海外の金融機関を利用する時代がやってくる」と喧伝されていたが、誰もそのやり方を教えてくれなかった。
だったら自分でやってみようと、友人たちと始めたのが「海外投資を楽しむ会」で、最初にイギリスの自治領、チャネル諸島のジャージー島にあるケイターアレンというオフショアバンクに口座を開いてみた。
当時はマネーロンダリング規制などない牧歌的な時代で、パスポートのコピーと口座開設申込書を郵送したら一週間ほどで口座番号とVISAのゴールドカードが送られてきた。この体験を書いた『ゴミ投資家のためのビッグバン入門』が、私の実質的なデビュー作になる。
“タックスヘイヴンの銀行”といえば、当時はゴルゴ13かジェームズ・ボンドの世界で、大富豪でもなければ縁のない話だと思われていた。それが100万円程度の預金額で誰でも簡単に口座が持てるとわかって、日本からの口座開設依頼が殺到した。
その文面が本に載せた例文とまったく同じだったので、銀行のスタッフは、新種の英語練習法だと思ったという。現在はアビーインターナショナルと名前を変えたこの銀行の、私たちが最初の日本人顧客だが、いまでは3000人を越える日本人が利用している。
ケイターアレンは当時、香港にオフィスを持っていて、私たちの本に気づくと、代表者がわざわざ日本まで会いに来た。サッカー好きの気のいいイギリス人で、香港に行くたびにあちこちのクラブに案内してくれた。イギリスの植民地だった香港は会員制クラブの文化が根づいていて、ホテルの高級レストランではなく、ジョッキークラブやチャイナクラブなど、グレードの高いクラブに招くのが最高の接待とされているのだ。