実は、このAさん、初めてチームを持ったころの私なのです。ここで、少し私の話をさせていただきます。当時、プレーイングマネージャーだった私は、営業に絶対の自信を持っていましたので、俺の言うとおりにやれば大丈夫とばかり、トップダウン型のマネジメントをしていました。

 短所ばかりにフォーカスして、常に部下を責めていました。長所は一切見ようとしませんでした。もちろん、褒めることなんてありません。褒めて調子に乗せてしまったら、部下の成長が止まってしまう、なんて思っていたのです。叱るのではなく、感情に任せて怒ってばかりでしたが、それも部下のためと自分勝手に正当化していました。

 ところが、いつまで経ってもチームの営業成績は上がりません。それどころか、下降線をたどっていました。そのうち離職者も出てきて、チームの成績は社内で最下位にまで落ち込んでしまいました。結果、私は降格となりました。

 そこで学んだのが、「相手を認めること」「相手の話を受け止めること」でした。そのためにも大切なのが言葉です。なにげない一言が、部下のやる気を削いでしまう場合もありますし、逆にやる気を引き出す場合もあります。特に意識したのは、相槌でした。

 相槌のような短い言葉は、つい無意識に使ってしまいます。実はこの相槌こそ、部下を活かす武器にもなり、部下をつぶす凶器にもなり得るのです。たった3文字から10文字の言葉が、部下を活かしもすれば、つぶしもするのです。

 では、部下を活かす相槌とはどのようなものでしょうか。いくつかご紹介していきましょう。

1. 話を促す相槌

「それでそれで」「もっと詳しく教えてもらえるかな」

 この相槌を使うことで、部下は「話に興味を持ってもらえているのだな」と思えるのです。たとえ自分の意見が通らなくても、上司に興味を持ってもらえたと、やる気が出てきます。

 この場合、「何を言いたいのかわからない」などと言ってはいけません。それこそ、部下のやる気を削ぎ、部下をつぶしてしまいます。