2012年9月の反日暴動から1年が経った。昨年とは打って変わって、ここ上海の街も静かだ。とはいえ、尖閣諸島をめぐる中国の挑発に終止符が打たれたわけではない。
昨年9月18日、上海でも柳条湖事件が勃発したといわれる国恥日に「反日」ののろしが上がり、上海日本総領事館周辺はデモ隊の叫ぶ「魚釣島は中国のものだ」のシュプレヒコールが渦巻いた。
その後、中国政府は「国有化は非合法かつ無効であり、中国は半歩たりとも譲らない」とする声明のもと、意図的に闘争を長期化・複雑化させ、外交、政治、経済、軍事をからめた日本への制裁のシナリオを組んだ。
そして、日本政府が所有者から尖閣諸島を購入して1年過ぎた今、中国メディアは中国政府の対応を誇らしげにアピールする。
中国の公務船が尖閣諸島海域で行った巡視回数が59回、延べ28時間36分に上ったことに対し、新華社は「歴史性的突破(歴史的な達成)」と報道した。また、今月9日に確認された中国軍の無人機の東シナ海での飛行についても、「無人機の技術は相当に引き上げられている」とした。さらに、「今後、漁船の護送と称して尖閣諸島へ近づけば、日本の国内法ではこれに対処できまい」とも報じた。
中国の“自信満々ぶり”はさらに続く。上海の地元紙『東方早報』は次のように伝えている。
「中国による魚釣島の主権の主張は進展を見せている。この島の問題の発生は、むしろ根本的な変化をもたらしたといえる。特に中国公務船の合法的権利を守る法の行使の常態化を実現させた。これは歴史的な達成であり、中日の海上の力関係に変化をもたらした」
日本への牽制の手綱も緩めない。
「中国はこの島の問題と長期的に対峙する意向なので、日本政府が対話を呼びかけてきても無駄だろう。日本のやり方は、中国に対話を呼びかけつつ、防衛力で中国を牽制するという二面作戦だが、対話の呼びかけなど、国際社会へのパフォーマンスにすぎない」(『東方早報』)――。