カメラ技術による差別化で反撃の狼煙を上げる
Photo by Naoyoshi Goto

 先月4日夜、20万人以上が集まる世界最大級の家電ショーであるIFA2013が開催されていたベルリン市内で、ソニーが一部のメディアを対象にした非公開のパーティが催していた。

「VIP メディア レセプション」。そう書かれた招待状を受け取った幸運な人たちは、ソニーの用意したバスに乗り込むと、市内の大型商業施設にあるフロアに案内された。

 そこではおいしい料理や酒に舌鼓をうちながら、最新のソニー製品をじっくり触れることができる。そして、帰途につくメディア関係者のひとり一人に手渡された“お土産”は、なんと1台200ユーロ(国内価格は2万5000円)もするカメラだった。

 こういったイベントで自社製品をプレゼントすることはよくあるが、この大盤振る舞いには、さすがに参加した人たちも目を丸くした。前年の音楽サービスの無料利用券と比べれば、その力の入れ具合は明らかだった。

「ソニーは自慢のカメラ技術にエレキの復活を賭けています。今回のイベントでは合計800台を現地に運び、メディアなどに贈呈しました」(ソニー関係者)

 実際には、このパーティ以外にもソニーの発表会に参加したメディアにもカメラが贈られた。単純計算で約2000万円の費用がかけられたことになる。

カメラ生き残りの“進化系”

 なぜ、ソニーはそこまでカメラを前面に押し出すのか。

 このカメラの名前は「サイバーショット QX-10」といい、不思議な外見をしている。一見すると、カメラではなく、単なる1本のズーム式レンズそのものだ。