ダイヤモンド社刊 1800円(本体) |
2つの言葉が、あるべき組織の文化を要約する。その1つが、鉄鋼王アンドルー・カーネギーの墓銘――己れよりも優れたる者の助けを得る技を知る者ここに眠る、である。もう1つが身障者雇用キャンペーンのスローガン――重要なことはできないことではなくできること、である」(『現代の経営』)
人を動機づけ、献身と力を引き出すもの、最善を尽くさせるものが、組織の文化である。
優れた組織の文化は、仕事本位である。あくまでも人の強みに焦点を合わせる。一人ひとりの人間の卓越性を完全に発揮させる。卓越性を見出し、認め、助け、報いる。そして他の者の仕事に貢献するよう導く。
優れた文化は、できないことではなく、できることに焦点を合わせる。それは、組織全体の能力と仕事ぶりの絶えざる向上をもたらす。昨日の優れた仕事を今日の当然の仕事に変え、組織は強化されていく。
組織の文化とは仲よくやっていくことではない。大切なのは仲のよさではなく、仕事ぶりのよさである。
ドラッカーは、仕事から得られる満足に基づかない人間関係は、人間関係として貧しいだけでなく、組織の文化としても貧しいという。人を成長させるどころか萎縮させるという。
「優れた組織の文化が存在することによって、投入した労力の総和を超える力が生み出される。そのとき力の創造が行われる」(『現代の経営』)