若手社員を指導する立場であれば、「最近の若いヤツはどうなってるんだ?」と、ついついぼやいてしまう局面はたくさんあるでしょう。私もまったく同様なのですが、そんな時、「おれも“最近の若いヤツ”なんて物言いをするようになってしまったんだな」と少ししみじみしつつ、ふと「おれだって駆けだしの頃は似たようなもんだったよな」と思い至ったりします。
私たちは、少し若手を厳しく見すぎているのではないでしょうか? あるいは、若手を「即戦力」と見なしているからこそ、できることとできないこと、言い換えれば理想と現実のギャップを必要以上に強く感じてしまうのかもしれません。
そもそも、大学を出たばっかりのやつが、即戦力であるはずがありません。私はそこに「育てる責任の希薄さ」を感じてしまいます。
若者の考えや行動には
オトナの姿勢が反映されている
オトナたちは、相当、自信を失っているのでしょう。「ゆとり世代」というようなレッテルを貼って、自分とは価値観の違う若者たちを「できないやつ」「劣ったやつ」と決め付ける物言いがそこかしこに溢れています。
そんなニュアンスで書かれた本も話題になり、売れています。実際、少し前に「シュガー社員が会社を溶かす」というタイトルの書籍が話題になりました。シュガー社員とは、「過保護に育てられ、自分に甘く、自立心に乏しい若手社員」のことだそうです。
悪いですが、まともな会社は、そんなもので溶けません。溶けるというなら、必ず会社のほうに溶ける理由があるのです。
このような「ダメな若者」が会社や社会に害悪を及ぼす、という言説には、一方に「オレたちはがんばっているのに、ダメな若者が足を引っ張りやがる」という怨嗟が込められている気がします。