第185臨時国会が15日、召集され、安倍首相は所信表明演説を行った。会期は12月6日までの53日間。ねじれ国会でないため、提出した法案の成立は確実なので、提出する法案がポイントになる。

 成長戦略を具体化するための産業競争力強化法案などが提出されるが、官主導の「産業政策」の色合いが強い。表向き「企業版特区」などの規制緩和が盛り込まれているが、農業、医療、教育、労働などのいわゆる岩盤規制のところは避けている。

公務員制度改革は
「廃案の歴史」

 そうした中で、注目すべきなのは、公務員制度改革である。岩盤規制の背後には、官僚の既得権がいつも見え隠れする。岩盤規制の緩和・撤廃をしっかり行うためにも公務員制度改革は避けて通れない。ところが、第一次安倍政権でねじれになってから、公務員制度改革は「廃案の歴史」だ。

 今度の国会で、その「廃案の歴史」を終わらせようと、自民党内で公務員制度改革法案がまとまり、公明党との協議になっているが、その内容はどうなのか。

 まず、最近における公務員制度改革の経緯をみておこう。

 第一次安倍内閣(2006年9月~07年8月)では、天下り規制、能力実績主義が盛り込まれた国家公務員法改正が成立した。筆者が企画立案していたから言うのではないが、天下り規制は、天下り斡旋の禁止という公務員制度改革の歴史の中でも画期的だった。もっとも、このため、霞ヶ関官僚すべてを敵に回すことになり、まだ政権として力不足であった第一次安倍政権は官僚との関係がギクシャクして、結果として早く崩壊していった面も否めない。

 福田政権では、第一次安倍政権の時に検討された国家公務員制度の総合的改革が法制化され、国家公務員制度改革基本法が制定された。国会はすでにねじれ下であったが、脱官僚を掲げる野党民主党の協力があったために、国家公務員制度改革基本法は成立した。