ミャンマーの不動産相場の過熱ぶりは、本連載第4回と第5回で解説してきた。現地では旺盛な不動産需要があり、ミャンマー国内外の不動産開発会社は、積極果敢にさらなる投資に踏み込んでいる。
特に、今後のミャンマーのビジネス活動の拡大を見越して、現在のところ数が限られているサービスアパートメントや高級コンドミニアム、高級オフィスの開発に取り組もうとする不動産開発会社の動きは、非常に目立つ。
しかし、不動産開発というビジネスは先進国においてもリスク度の高い事業だ。行政当局からの許認可の取得、施工管理、分譲販売やテナントリーシングなど、実際に開発を行う際にクリアしなければならない点は多い。
法制度的にもインフラ的にも未成熟なミャンマーで、外資企業として不動産関連事業を行う際には、どのような点に留意し、どのようなリスクに対処すべきなのか。今回は、現地で不動産開発を事業化する際に留意すべき論点を見ていきたい。
不動産開発は
外資の主要な参入分野
1988年から2013年7月末までの外国企業によるミャンマーでの不動産関連への累計投資総額は1040億円だ。主要な産業セクター別の外国直接投資額を比較すると、エネルギー、ガス・石油、鉱山、ホテル・観光に次いで第5位となっており、海外からのミャンマー投資において、不動産開発は昔から主要な産業の一角を占めている。
第4回でご紹介の通り、1990年代のミャンマーブームの際には、日系企業もオフィスビルのサクラタワー、主要な高級サービスアパートメントのGolden HillやMarina Residenceを手がけるなど、不動産開発で重要な役割を担ってきた。ただ、ブームが終息するとともに、新たな不動産開発の動きはとだえ、10年以上、新たな物件建設がない時期が続いていた。