ミャンマーにおいては、法律整備がこの1~2年で積極的に進められており、またその勢いはむしろ加速している観がある。第1回でご紹介の通り、現在もコンドミニアム法や会社法の改正等、多くの経済関連法規制の整備が予定されている。

ミャンマー進出に際して、具体的に何がどこまでできるのか、どのような進出方法が好ましいのか等を理解するためにも、現地法制度の枠組みを理解することは重要だ。加えて、将来もし何らかの問題が起こった際にどのように自らを守れるのかを含めて、リスク管理のために、関連する法律の大まかな内容程度は理解しておきたい。

そこで今回は、現在のミャンマー進出における主要な法律の枠組みを確認しようと思う。ただ、その説明に至る前に、ミャンマーの法制度の枠組みが、歴史的経緯からどのように変化してきたかを見ていこう。

なお、今回の内容は、昨年の「ミャンマー その投資ブームは本当か?」の第2回「ミャンマー進出に理解必須の会社法と外国投資法 進出担当者の考えるべき視点と会社形態」に、昨今のミャンマーにおける法律変更等を反映して、大幅に加筆修正を加えたものである。

人治国家と言われるが
法整備は急ピッチで進む

 ミャンマーは過去にイギリスの植民地であったことから、基本的に英国の判例法の強い影響を受けてきた。特に、英国のアジアにおける植民地拡大の経緯から、ミャンマーでの植民地行政においては、インド統治で用いられていたインド法典が移植されて、ビルマ法典となっている。

 1948年の独立以降は、植民地時代の法規制に新しい独自の法律を成文法として足し合わせる形で対応してきたが、1962年のクーデター以降は、軍事体制による社会主義的色彩の強い法規制がその後26年間ほど続いた。1988年の全国的な民主化要求デモにより、社会主義政権が崩壊するが、その後、国軍がデモを鎮圧し政権を掌握すると、再び英国コロニアル法制に独自の法規を加えていく形態に戻り、現在へと続いている(次ページ年表参照)。