不動産投資は、海外における詐欺の定番の一つといわれて久しい。そもそも外国人には不動産が取得できないにもかかわらず、あたかもできるかのように語り、その上で投資資金を巻き上げるのがよくある手口だ。
ミャンマーの不動産市況が高騰している状況について、前回ご紹介した。ヤンゴンの不動産市況が高騰する中で、ミャンマー不動産への投資を謳うサイトをよく目にする。
しかし、そもそも外国人である日本人が、ミャンマーで不動産を取得することが可能なのか。
今回は、そのミャンマーで、外国人である日本人が、実際にどのような形で不動産投資を行うことができるのか、また実際の現地のコンドミニアムの販売の現場から、なぜこのような高騰した市況が生じているのかについて考えてみたいと思う。
全ての土地は国が所有者と規定
そんなミャンマーで土地売買は可能か?
日本ではそれなりの金額がかかるが、個人で普通に土地を買うことができる。それが当たり前のように頭にしみ込んでいるので、あたかも海外でも同じように思いがちだ。ただ、ひとたび国外に出ると、そもそも土地は誰が保有していて、その結果何ができるのかを確認するところから始める必要がある。はたしてミャンマーではどうだろうか。なお、今回、ミャンマーの不動産関連の法制度の記載については、TMI総合法律事務所ヤンゴンオフィスの堤弁護士にご協力を頂いた。
ミャンマーでは、憲法(Constitution of the Republic of the Union of Myanmar, 2008)において、全ての土地は国が所有者と規定されている。(37条a項)従って、個人や企業が土地を所有することは認められていない。
ところが、現在ミャンマーで、ミャンマー人の間での土地の売買が話題になっている。どういうことか。これは、国は個人や企業に対して、土地の使用権を付与することが可能とされていて、よく言われる「土地の売買」というのは、あくまで「土地の使用権の売買」を指しているのだ。
土地の使用権には、その用途や、利用料の支払い、譲渡が可能か等の観点から、複数の種類が存在し、その類型分けには諸説存在する。代表的な区分として、賃貸借権(Leasehold)、一時使用権(License)、所有類似の自由土地保有権(Freehold)等がある。その中にも、どのような用途に使ってよいか等の観点から、より細かなくくりがある。特に商業用途に使える土地やそうでない場所等が、タイプごとに分かれているので、個別の土地ごとに何に使えるのかを確認する必要がある。
土地を使用する場合は、政府機関から許可を得るか、賃貸契約を締結するなどの方法で、土地を利用することが可能になる。例えば、ヤンゴンの場合、土地の上に建物を建設して利用しようとしたら、ヤンゴン市開発委員会(Yangon City Development Committee, 通称YCDC)から許可を取得する。