レンタルビデオ・サービスを提供するネットフリックスが、9月末までの四半期の利益が前年度の4倍、3200万ドルになったと発表した。また、アメリカ国内の登録ユーザーも130万人増えて3100万人に到達。世界中での登録ユーザーは4000万人に達し、画期的な成功と同社は語っている。
ネットフリックスは最近、何かと話題になっている。2年前は、課金の方法を変えたことでユーザーの怒りを買い、ネットフリックス離れが話題になったのだが、最近の話題は前向きのものが多い。なかでも注目すべきは、オリジナル番組の制作である。
当初は価格の安さだけが売り物
それまでのネットフリックスは、レンタルビデオのサービスを2通りで提供している会社だった。ひとつは、DVDを貸し出すサービス。オンラインで申し込み、数日後にはDVDが届く。見終わったら、同封されている返信封筒にDVDを入れて郵便ポストに投函するだけ、という簡便なレンタルビデオの方法を発案したのは同社だ。
もうひとつは、ストリーミング。家に居ながらにして、ただクリックするだけで観たい映画が始まるもの。郵便が届くのを待つ必要も返送する必要もない。話題の人気映画であっても、DVDのような順番待ちもない。これが、観放題で1ヵ月たったの7.99ドルという安さも伴って、どんどんユーザーが増やしていたのだ。
つまり、ネットフリックスは安いことが売りのレンタルビデオ屋ではあったが、扱っているのは他の映画会社や番組制作会社のコンテンツ。そのライセンスを買って、レンタルのサービスを提供する会社だったのだ。
その同社が風向きを変えたのは、今年に入ってからだ。コメディ、アニメ、ドラマと、バラエティーに富んだテレビ番組を独自に作り始め、それを次々と発表した。アニメ「ターボFAST」は、スピルバーグのドリームワークスが制作を担当、超高速で走るカタツムリが登場する3Dのスポーツ・コメディーという新しいジャンルの番組だ。
「ハウス・オブ・カーズ」は、ケヴィン・スペイシーが主演する政治スリラー。そして、婦人刑務所で生活した女性の実話に基づいた「オレンジ色は、新しい黒」など。どれもひとひねりある内容で、高い完成度を目指しているのがわかる。実際、「ハウス・オブ・カーズ」は先頃、優秀なテレビ番組に送られるエミー賞の監督部門を受けた。一度もテレビで放映されたこともない、ストリーミングビデオ作品がエミー賞を受けたのは初めてのことだ。