管理職ポストの“卒業式”を迎えても
次のビジョンが思い浮かばない

 役職定年等のキャリアショックに遭遇した50代人材の反応は、全体的に、それまでの自分が通用しなくなり、将来に対して暗い気持ちになりがちだ。その時期の到来は分かっているが特段なすすべもなく、“管理者の卒業式”を迎える。管理者の自分が役職返上したら、次は肩書きなしで何ができるのか考えているように思えるが、現実には殆どの方が次はどうしたい、というビジョンがない。大半の方が何の準備もなくその日を迎えてしまう。

 その背景には会社に対する素朴な信頼感、つまり、30年頑張ってきたオレをそんなに粗末に扱うわけない、何かそれなりの貢献者として扱ってくれるはずだ。さりとて会社もそんな準備をせよとも言いにくく、自己責任に任せている。ここに現実認識の大きなギャップがある。

 肩書きが外れたら、現場仕事をさばく実務能力が問われる。マネジャーからプレーヤーへと転進するのだが、プレーヤーになっても、まだ“マネジャーの座布団”が残っている感覚をもっている。肩書きの返上・役割のチェンジに伴い、本当は、過去の権威・実績・プライドなどヨコに置くものと、次の職務のために必要な役割意識・新たな仕事能力の習得・ビジョンなど次の再スタートのために準備するものが必要なのだが、これもなかなか払拭できない。

 役定・定年は職業人としての生き方・働き方のギアチェンジの時期だ。ここでセカンドキャリアについて、自分なりの心構えや考え方、次の働き方のビジョンが出来ているか否かで、その後の働く意識や働き方にはずいぶん差が出る。ここで、けじめのつけ方、次の働き方の覚悟をもたないまま、役定後の仕事がスタートすると、組織の中や仕事現場では様々な問題を引き起こすことになる。どんな問題がおきるのか、その問題を起こす人はどのような人なのか、その人材タイプを見てみよう。

働く意欲と自己活用度からみた
役職定年50代社員の4タイプ

 先ほどの役職定年者に対する制度説明は、制度適用になる半年から1年前に実施されることが多い。主な説明内容は、制度の趣旨、役割や職務とあわせ権限・処遇の変更だ。また退職金・年金説明と合わせ早期退職優遇制度の利用も案内されるのが普通だ。このとき、人事部長や担当役員から有終の美を飾ってほしいなど少々の心構えめいたお話はあるが、管理職経験者に対して、企業も、先々の働き方や意識の持ち方など細々したことは言わない。概ね経験と能力を活かして、自律・自立的な働き方をしてほしいという程度に終始する。