データの継続性と
チームの「今」を切り離す

  このとき、チームには「五輪での中国への苦手意識」は初めから存在せず、前年のワールドカップの戦績や、2012年の春遠征での試合内容をしっかり分析して”今の中国” ”目の前の中国”に集中していました。「対・今の中国」で言っても、かなり分が悪かったのも事実ですが、決して「勝ちなし」ではなかったのです。

  過去の五輪の中の日本と中国は、今は関係ない。データの継続性はとても大切ですが、それと同じくらい、過去にとらわれず、現在を見極める力が重要です。

  アナリストとしては不利な情報、ネガティブなデータももちろん把握していなければいけません。監督にはそういう情報も伝えますし、その情報が必要だと思えば監督が選手に伝えることもあります。把握した上で何でもかんでも伝えればいいわけではないというところが、データのアウトプットの難しさです。