分母が少ないデータは
何の参考にもならない
データの取捨選択、供給量はこちらでコントロールする必要があります。
ロンドン五輪で私たちが”運命の一戦”に設定していた8月7日の準々決勝、中国戦の前にこんなことがありました。
組み合わせ抽選の後、準々決勝の相手が中国に決まると、日本のメディアの多くは「五輪で一度も中国に勝っていない」とか「相性悪し」といった論調でした。
ロンドンにいるとはいえ、メディアの誰かが選手にこのことを伝えたり、選手がうっかりこういうデータを見てしまう可能性もあります。
私は「選手たちに余計な情報を入れないでくれ!」と耳と目をふさぎたくなる気持ちでした。
確かにそれまで全日本女子チームは中国に五輪で勝ったことがありませんでした。しかし、オリンピックが行われるのは4年に一度です。対戦成績自体が極端に少なく、直近の4年前で見ても同じ選手はごくわずかしかいません。
12年、16年前のメンバーと今のメンバーはまるで違うという状況で「勝ったことがない」などと言われても、分母が少ないデータは何の参考にもならないのです。
全日本の選手たちはこのことで必要以上にナーバスになったり身構えたりせずに中国戦に臨んだと思いますが、戦う前に苦手意識を植え付けるデータを耳に入れたくありません。