連日盛り上がりを見せている、バレーボールの世界大会「ワールドグランドチャンピオンズカップ2013」(グラチャン2013)、明日からは後半戦、まだまだ熱い戦いが続きます。
目の前の一勝一敗に一喜一憂しては、選手が持つ本来のパフォーマンスが発揮できません。データというのは、使い方ひとつで武器にもなれば凶器にもなります。選手の力を最大限に発揮し、飛躍と成長を遂げるために、アナリストがこれだけはやってはいけないこととは?
情報の入れすぎは
むしろ危険?
情報の入れすぎがアダになることもあります。
これまでのアナリスト人生で、いくつかの試合で事前分析が本当にうまくいって「こうすれば勝てる」という道筋が見えたことがあります。
サーブのコース、狙い所がバシバシ的中し、相手のアタックも手に取るように読める。滅多にあることではありませんが、事前情報の通りにゲームが進んでいくような試合です。
結果としてそういう試合は、ほとんどの場合「成果」に結びついています。しかし、相手の動きが予測できたからといって、選手の動きを1から10まで指示が出せるかというと、そうではありません。選手に情報を与えすぎてしまうと、情報に沿ったプレーに意識がいきすぎて、普段の力が出せなくなる可能性もあります。
ネガティブな情報は、さらに念を入れて気をつける必要があります。
「前回はあの選手に徹底的にやられている」
「あの選手のサーブは、ほとんどサービスエースだった」
気をつけるべき点として選手に伝えることは必要ですが、数字が具体的すぎたり映像が強烈すぎると、選手たちが一種の「暗示」にかかってしまうこともあります。
選手たちはまさに現場でその相手と対峙して、結果を身体に刻みつけているわけですから、悪かった情報を取り出し、あえて強調することに意味はありません。
注意を促すならば、その対策方法とセットで提示すること。そうでなければ、ただ足を引っ張る余計な情報になってしまうのです。