日本女子サッカーリーグを育てた日本女子サッカーリーグの専務理事・田口禎則氏(左)とボストン コンサルティング グループ日本代表・水越豊氏

優秀なビジネスパーソンが必ずしもマネジャーとして成功しないように、スポーツ界でも、名選手が必ずしも名監督になれる訳ではない。ましてや、異性を相手にするとしたら、なおさらだ。

元Jリーガーの田口禎則氏は、日本女子サッカーリーグの専務理事に就任する以前、浦和レイナス(現さいたまレイナス)の監督も経験している。田口氏はどのようにして女子選手のモチベーションを上げ、チームを優勝へと導いたのだろうか?

女性や若手社員の育成にも通じるヒントについて、ボストン コンサルティング グループの日本代表、水越豊氏が探る。
(構成 曲沼美恵/撮影 宇佐見利昭)

選手一人ひとりの体力と運動能力を
データで把握することからスタート

水越 前編では、日本女子サッカーリーグがたどってきた歴史を簡単に振り返っていただきました。田口さんがそのリーグをどのように運営されているのか、を伺う前にまずは監督時代の経験について、詳しくお聞きしたいと思います。

 田口さんはリーグ事務局に入られる以前、浦和レイナスの監督をされています。その時点で、女子サッカーに対する知識や興味はどれくらいお持ちだったのでしょうか?

田口 最初はまったくと言っていいほど、ありませんでした。逆に言うと、監督をやらせていただいた4年間で随分と勉強させてもらった、と感じています。あの経験があったからこそ、今こうしてリーグ運営ができていると思いますね。