「クラッシュ・オブ・クラン」と「ヘイ・デイ」のスマートデバイス向けゲームアプリを開発し、2010年の設立からわずか3年で世界のあアプリ市場を席巻しているフィンランドのスーパーセル。この度、ソフトバンクグループが約1500億円で51%の株式を取得し傘下に収めることとなった。ゲーム業界を驚かせた買収劇について35歳の若きCEOに聞いた。(「週刊ダイヤモンド」編集部 小島健志)

――アプリ調査会社アップ・アニーによれば、スーパーセルは、iOS向けアプリを提供するゲーム開発会社として、8ヵ月連続で売上高が世界トップです。人気の秘密はどこにあるのでしょうか。

イルッカ・パーナネン/1978年フィンランド生まれ。ヘルシンキ工科大学(現アルート大学)卒業後、2000年ゲーム開発会社のスメラ創業。同社をデジタル・チョコレートに売却後、同社社長を経て、2010年スーパーセルを共同創業、現CEO。
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 まず、誰でもゲームに入りやすい特徴があるでしょう。複雑かつ細かな作りながら、手軽に遊べるように端末の操作性を高め、利用体感が高まる工夫をしてきました。ゲームをやればやるほど、その「深さ」を実感できるはずです。

 最も重要な点は、ソーシャル性を取り入れていることです。利用者は、ゲームそのものよりも、ゲームで出会った人たちとまた一緒に遊びたいと思ってそこに戻ってくるのです。

 ゲーム開発に関しては、開発陣の質が他社と違うと思います。もともと、この会社を設立したのも、良い人材を集め、良い環境を作れば、良いゲームがつくれると信じていたからです。プロスポーツの世界と同じですね。どんなにチームが大きくとも、優秀な人材がいないのでは負けてしまう。その点、われわれには素晴らしい才能を持った開発陣がいるのです。

 社員は130人程度で、「クラッシュ・オブ・クラン」もわずか5人で開発したほどです。小さくとも独立した組織形態が重要だと考えており、それは社名にも表れています。

――今年6月から日本語版が提供され、ガンホー・オンライン・エンターテイメントの「パズル&ドラゴンズ」とコラボする形で日本にも広まりました。日本市場の印象はいかがですか。

 もともと、日本は非常に尊敬している市場です。子どもの頃からファミコンが好きで、任天堂のゲームを遊んで育ったのです。その開発者や運営者に憧れていました。特に好きなゲームは「ゼルダの伝説」です。8メガビットの第1世代のものですよ。

 欧米のゲーム会社からすれば、よく日本市場は「墓場」と呼ばれるほど成功が難しいと見られています。それが今回、ガンホーとの提携を機に、日本にわれわれのゲームを広げることができました。日本進出はスーパーセルにとっては大きな意味があるのです。