10円玉を立てる、プレゼン直前にダッシュ…
本番に強くなる簡単トレーニング
――森川さんはスポーツ選手だけでなく、企業や教育分野でもメンタルトレーニングのお仕事をされていますね。
森川「自分の経歴もあって、サッカー、フットサルをはじめ、ゴルフ、バスケットボール、レーシングなどのスポーツ選手、チームのサポートをすることが多いのですが、その他にも、一般企業や官公庁での仕事も多いですし、こども向けのサービスも行っています」
――ビジネスマンにとっては、プレゼンや交渉など「本番」は日々あります。また学生にとっての「本番」、受験の時期が迫っています。
森川「うまくいかないのは、はじめから120%の力を出そうとして、実力の80%、70%しか出せないというケースが多いですね。そのまま『OKライン』のメソッドにつながるのですが、まず自分の実力・限界を知って、それに見合ったラインをつくる。それだけで100%に近いパフォーマンスが発揮できると思います。
もうひとつ、アドバイスできるとすれば、本番に強くなるには『集中』と『リラックス』をコントロールすることです。そのためには、自分自身に意識を向けることが重要です。これは身体を使ったトレーニングで鍛えることができます」
――集中力とリラックスですね。最後に、それぞれの簡単なトレーニング方法を教えてください。
目の前の10円玉に集中することで、他のものに向いた意識をリセットすることができます
森川「では、とても簡単なものをひとつずつ紹介します。
まずは集中力。10円玉を1枚用意して、3分間の間に何回立てられるか。それだけです。仕事や勉強を始める前にやると、切り替えにもなります。また、自分がだいたいどのくらいの回数ができるかがわかってくれば、それに満たないときは集中できていないことが、それを超えるときには集中できていることが把握できます。
意識的に緊張感を抑えこもうとしても難しいものです。身近な環境を生かして心拍数を急激に上げ、それが落ち着いていくのを実感することがリラックスにつながります。
リラックスについては、トレーニングというより直前対策です。プレゼンを行う会議室に入る前、受験会場の教室に入る前に、階段をダッシュで駆け上がったり、その場で素早く何度もジャンプをしたり、軽く息が上がるくらいの運動をします。その後、目を閉じ胸に手を当てて自分の心拍数が少しずつ落ちていくのを実感する。それだけです。緊張している際には意識的に落ち着こうとしても限界があります。一方、運動後の心拍数は不随意的に減っていくので無意識の部分から落ち着いていきます。
どちらも簡単なものですので、一度試してもらえるとうれしいです」
*後編は12月5日(木)配信予定です。
◇書籍のご紹介
『本番で実力が出せない人のための「いつもの自分」トレーニング』
「いつもできることをそのままやればいいのに、大事なときに限ってうまくいかない…」そんな悩みは簡単なトレーニングで解決できる!プロスポーツ選手のメンタルトレーナーを数多く務める著者が編み出した、身近なものですぐに効果を発揮するセルフトレーニング50。
森川陽太郎 著
定価(税込)1,470円
ご購入はこちらから!