伝えたい情報を直感的にわかるように、グラフィカルに表現する「インフォグラフィック」。この「相手がぱっとわかるように工夫する」という考え方のクセそのものが、コミュニケーション上手にしてくれるはず。本連載は、情報をよりわかりやすく、という枠を超え、発想そのものを広げるための教科書だと思ってください。どうやってこのアウトプットに辿り着いたか、発想のスタート地点から解説していくことで、「考え方のプロセスと構造」がわかります。第9回は本人としてはベストの作品です!スポーツニュースを見ていて、閃きました。

ダントツで素っ気ないが
見立て論理的美しさはベスト!

 今回のインフォグラフィック、30回まで続く連載の中でも、見立ての論理的美しさ、閃きのレベルの高さでは、本人としてはベストです。超シンプルな形状ではありますが、元ネタと見立てた対象物の構造的な一致がすばらしいのです。いわば<形の美>ではなく<論理の美>。事実、発想系の仕事されてる方、デザイン関係者などでこのシリーズの作品群を見た人には、このネタを凄いという方が多かったです。

 パッと見は、30ネタの中でダントツ素っ気ない。仕上がりだけ見たらなんてことないように思うでしょう。しかし、芯に秘めたる構造そのものをアートと捉えれば、発想の妙味がわかって頂けると思います。

 と、自画自賛的能書きが過ぎたところで(笑)、まずはインフォグラフィックをご覧ください。

グラフィック作成/小宮山秀明
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 どうですか。拍子抜けするぐらい素朴でしょう。球技のボールが横一列に並んでいるだけ。しかし、それらが連なることで、細胞分裂のプロセスを時系列でなぞっている。簡易版絵巻物という見え方。

 今回のインフォグラフィック、発想の糸口は、ネタを考えていたときではなく、何気なくテレビでスポーツニュースを見ていたとき。バスケットボールの試合を見ていて、「そういえばあのボール、中学生のとき、教科書に載ってる細胞分裂中の卵に似てると思ったなあ」と以前から考えていたことを思い出したのです。