30年以上の歴史を持つ「ガリガリ君」(赤城乳業)。2012年の売上高が350億円を超える、日本一売れているアイスキャンディーだ。同社は大胆な商品開発でも知られ、昨年発売した「ガリガリ君 リッチ コーンポタージュ」は、そのユニークさが人気を集め、発売直後に品薄により販売中止となったほどだ。今年10月に発売した「ガリガリ君 リッチ クレア おばさんのシチュー味」も大人気である。
人気とはいえ、その評価は賛否両論だ。ソーダやフルーツのフレイバーのような「ガリガリ君」のいわば本流になる可能性は低いと思われるが、同社もそれは承知の上のことだろう。試してみて感想を語り合い、共有すること自体が、日常生活の中ではちょっとしたイベントになる。それが重要なのだ。
変わった味を試すこと
それ自体が“イベント”
この秋冬の一度試してみたい商品には他に、不二家の「飲むシュークリーム」やカルピスの「ほっと完熟トマトスープ」などがある。
「飲むシュークリーム」は濃い目のクリーム飲料といった印象。飲料としての違和感は低いが、肝心のシューの食感が得られない点に違和感を覚える人もいるようだ。ただしパンケーキやシリアルにかけることで別の食感を楽しめるという長所もある!?
「ほっと完熟トマトスープ」は、ペットボトルで温かいスープを楽しめるというもの。トマトジュースというほとんどスープの一歩手前の前例があるし、缶入りのポタージュスープもすでに定番だ。だが温かいスープをペットボトルでという発想は比較的新しい。意外性が低いぶん「普通に」受け入れられ、定番商品となるかもしれない。
この流れに「ガリガリ君」のスープ味やシチュー味を置くと「食器を使わずに味わえる冷製スープ」ということになる。おなじみの味であれば温度や形状、容器の違いのハードルは意外に低いのだ。冷たいカレーが「話題の商品」に終わらずある程度定着したことから考えると、カレー味の「ガリガリ君」や、ペットボトル入りのスープカレーが登場してもおかしくはない。
(工藤 渉/5時から作家塾(R))