ダイヤモンド社刊
1890円

「成果をあげるには、人の強みを生かさなければならない。弱みを気にしすぎてはならない。利用できるかぎりのあらゆる強み、すなわち同僚の強み、上司の強み、自らの強みを総動員しなければならない。強みこそが機会である。強みを生かすことは組織に特有の機能である」(『プロフェッショナルの条件』)

 ドラッカーは、弱みを克服せよとは決して言わない。そのようなことは至難である。たとえ、成功しても、その過程で強みまで危うくする。しかし組織は、人それぞれの弱みを意味のないもの、たいしたことではないものにすることはできる。

 組織の役割は、一人ひとりの強みを、共同の事業のための建築用ブロックとして使うことにある。

 ドラッカーは、人の強みを生かし弱みを意味のないものにすることこそ、組織の正当性の唯一の根拠だと言う。これができなければ、組織には、どなたかのお子さんにあれこれ命令する権利、権力など許されるはずがない。

 かくしてドラッカーは、人事は強みを中心に行えと言う。ドラッカーは、米国の南北戦争時の逸話を紹介する。