平成26年度(2014年度)税制改革が決定したが、理念や方向感のない税制のオンパレードだ。投資家の期待していた法人税実効税率の引き下げについては、「引き続き検討を進める」と先送り、一方で、大企業の交際費の損金算入など世の中の方向感覚とは逆行している。政治家と財務省・経済産業省の、議論なき「握り」の税制改正では、アベノミクスは危い。

方向感を失った税制改革

 平成26年度(2014年度)税制改正内容を見ると、一見きわめて華やかで多岐にわたる改正内容となっている。

 しかし、ひとたび内容を精査してみると、さまざまな政策税制(租税特別措置)の羅列や、旧来型の発想に基づく改正内容のオンパレードとなっている。「地方経済対策としての大企業の交際費の一部経費算入」というような発想は、時代遅れというより時代に逆行するものだ。これは悪いジョークだが、そのうち公務員倫理法の改正も経済対策のメニューになる日が来るかもしれない。

 産業の新陳代謝を進め、新たなビジネスを興しつつ経済活性化を目指すという志はほとんど見受けられない。

 背景には、経済産業省や経団連の重厚長大産業優遇の発想、旧来型の自民党税調と財務省の握り、といった閉鎖的空間での議論や決定がある。

ほとんど議論されなかった法人税改革

 市場や投資家の期待していた法人実効税率引き下げについては、「引き続き検討を進める」と、方向感もなく先送りされた。復興臨時増税の前倒し廃止により、法人表面実効税率が2%強引き下がることで十分ということなのだろう。

 最大の問題は、法人税改革について昨年10月以降、政府部内や党内でほとんど議論が行われてこなかったことである。そのことは、政権の政策立案能力のキャパシティの狭さを物語っている。