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スマートフォンの理想と現実

ソニーXperia Z躍進からウィルコム消滅まで
スマートフォンをめぐる2013年の出来事を振り返る

クロサカタツヤ [株式会社 企/株式会社TNC 代表]
【第57回】 2013年12月26日
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3月:地下鉄全部完了

【概要】
 東京メトロと都営地下鉄の全線において、社内での主要キャリアのケータイの通話や通信が実現した。2011年末に移動通信基盤整備協会が主体となって推進を明らかにしていたもの。一部のエリアから段階的に開通していき、2013年3月をもって都内全線での通信・通話の整備が完了となった。

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【解説】
 「ああ便利になったね」という程度の何気ないニュースだし、海外では以前から普通に使えたので、むしろ「何をいまさら」というような話に思われるかもしれないが、先々の展開を含めて、このニュースを取り上げておきたい。

 地下鉄の中でも通信ができるようになったということは、都市の中で使えない場所が一つ減った、ということである。特に密閉空間かつ移動体という条件の厳しいなかで、モバイルサービスを利用できるようになったことの意味は大きい。

 モバイルはもはや、単なる移動体通信としての位置づけを超え、都市全体を包み込もうとしている。地下鉄の中や、オフィスビルの上部・内部等、つながらないと思われていた場所が減るほど、通信は都市機能に溶け込み、社会インフラとしての存在感を強くする。位置情報サービスや防災関連の情報提供はもちろん、都市空間と情報空間の一体化が進むことで、オムニチャネル等の新たなパラダイムが台頭するだろう。

 おそらく来年以降もこうした取り組みは続くものと思われる。そしてそれにより、M2M(機械間通信)やIoT(Internet of Things)と呼ばれるセンサーネットの世界が、新たな事業機会の場となっていくだろう。モバイル産業に残された数少ない「ブルーオーシャン」だけに、来年以降の展開には大きく期待したい。

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クロサカタツヤ
[株式会社 企(くわだて)代表取締役、慶應義塾大学特任准教授]

1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修了後、三菱総合研究所にて情報通信分野のコンサルティングや国内外の政策調査等に従事。その後2007年に独立し、現在は株式会社企(くわだて)代表として、通信・メディア産業の経営戦略立案や資本政策のアドバイザー業務を行う。16年より慶應大学大学院政策・メディア研究科特任准教授。


スマートフォンの理想と現実

2011年はスマートフォンの普及が本格化する年になる…。業界関係者の誰しもがそう予感していた矢先に発生した東日本大震災は、社会におけるケータイの位置づけを大きく変えた。しかし、スマートフォンの生産に影響が及びつつも、通信事業者各社はその普及を引き続き目指し、消費者もまたそれに呼応している。震災を受けて日本社会自体が変わらなければならない時に、スマホを含むケータイはどんな役割を果たしうるのか。ユーザー意識、端末開発、インフラ動向、ビジネスモデル等、様々な観点からその可能性と課題に迫る。

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